第264話 本日の予定

「おいしいねー」

「ねー」

「大聖女さま、ありがとうございます」


甘いジャムをたっぷりとパンにつけて幸せそうに食べる子供たち。


慌てて食べようとする子も居るけど、それはアリシアと一緒に上手いことフォローしてゆっくり落ち着いて食べるようにさせることは忘れない。


「ゆっくり噛んで食べるんだよ」

「「「はーい」」」


うんうん、素直でよろしい。


「坊主!お代わり!」


子供たちの素直さとその食べっぷりに微笑んでいると、朝食が出来たタイミング丁度に起きてきた虎太朗が本日何回目かもお代わりを催促してきた。


どこに居てもブレないやつだなぁ。


「シリウス様、本日はどうされるのですか?」

「ん?ああ、少し会いたい人が居るから軽く出かけてくるかな。その後で子供たちやアリシアに手伝って欲しいことがあるんだけど……」

「私達に出来ることでしたら何なりと」

「ありがとう」


ビリオンがクーデター組織の立て直しをするのには多少時間が居るだろうし、その間に出来ることはしておかないとね。


「なあ、坊主。坊主の親父や兄貴への報告はいいのか?」


パン一斤を実にスムーズに食べてからそんな事を聞いてくる虎太朗。


「軽く報告はしてるから、大丈夫だよ」


直接会って色々話すべきだろうけど、ヌロスレアの現状はヘルメス義兄様経由である程度知ってるだろうし、とりあえず今すぐ報告する必要はないのでひとまずは情報集めなんかを優先するべきだろう。


というか、俺なんかとは比べ物にならないくらい優秀で有能な父様や兄様達なら軽いメッセージだけでどういう状況かは察してくれるだろうし、ひとまずはメールだけでも問題ないだろう。


まだ派手に動くターンではないし、出来ることをやって情報を集めた方がいいだろうし、俺がこうして動くことも恐らくヘルメス義兄様や父様達も読んでるだろうしその辺は心配無用だろう。


「まあ、フィリア達には会いたいから今日明日のうちには一度戻るかもだけど」

「なら俺も嫁さんや子供たちに会いたいしその時は声掛けてくれ」

「分かってるよ」


虎太朗としてもあまり長く家を空けたくないのだろう。


気持ちはよく分かるよ。


「あの……シリウス様」

「どうかした?」

「その時は、もし宜しければ私もシリウス様の婚約者様たちにお会いしたいのですが……」


アリシアがそう控えめに言うが……まあ、確かにアリシアはそのうちスカウトしたい人材だし婚約者たちに会わせても害はないどころか、スカウトするために囲い込む(人材として)のもアリかな。


「分かったよ。その時は声をかけるね」

「ありがとうございます」

「坊主はモテるなぁ」


虎太朗さんや、今の会話の何故にそんな感想を抱く部分があったのかな?


そう視線で問いかけるとさも『分かってるんだろ?』と問い返されて何とも言えなくはなるが……まあ、何にしてもあれだね。


子供たちの食べっぷりを眺めるのは楽しいし、本日の活力にもなりそうなので頑張ろうかな。









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