第258話 集会の最中
「これは殿下。遠路はるばるようこそおいで下さいました。私、ホロバレルと申します。以後お見知りおきを」
集会のための部屋に足を運ぶと、まず最初に挨拶をしたのはどこか胡散臭い雰囲気が漂うおじさんであった。
どうやら彼が過激派の中心人物のようで、それに続く形で過激派のメンバーと挨拶をしていくが……ふむふむ、なるほど。
ビリオンの情報通り、やはりロダリグア王国のスパイが多めのようだし、これは何か起きない方が有り得ないか。
「私のことは気にせず、会議を初めてくれ。今宵はこの国の行く末を考えるものと伺ってる。どうか良き結果へと答えを出すことを願っておこう」
少し強引だけど、厳かにそう言えば挨拶の列も解散せざるおえないので、そうして強引に終わらせると用意されていた席へと足を運ぶ。
(坊主、どうだった?)
(うん、大方の目星はついたよ)
(そうなのか?俺には全員怪しく見えるが……何かされる前に全滅させた方が早くねぇか?)
肉声では聞こえないアイコンタクトと唇の動きを取り入れたやり取りを虎太朗と交わすけど、虎太朗的には皆等しく怪しく見えたらしい。
気持ちは分からなくないけど……流石に何もしてない時点で危害を加えるのはねぇ。
(その方が早くても、証拠を見つけて阻止した上で掌握した方が後々の事を考えるといいんだよ)
(そうなのか。まあ、坊主に任せるさ)
そんな風に俺達がやり取りをしているが、傍目には俺が真面目な顔で座ってるようにしか見えないし、虎太朗も護衛として真面目にやってますオーラを出せてるので、これに気づけるような人材ならむしろ欲しいくらいかもしれない。
調教……もとい、教育した上で使えるようなら使えばいいし、ダメなら適当に消せばいいし、その辺はおいおい考えるとしよう。
「では、本日の議題だが……」
ビリオンの開始の言葉と共に、本日の集まりで話し合うこと、決めることを無数に話していくが、やはりというか、穏健派と過激派で意見が合わないことが多い。
「もはや一刻の猶予もならない!今すぐ民を先導して革命を成し遂げるべきだ!」
過激派の中心人物であるホロバレルの言葉に賛同する者たち。
そこにあるのは、正義感か、はたまた己の利を欲するが故の無責任な発言かは聞くまでもないが、それらを聞いた上でビリオンはそれに頑として首を横に振る。
「ならない。それでは多くの血が流れることになる。我らは圧政に苦しむこの国の民を救うために立ち上がったのだ。民に無益な血を流させることをせず、入念に準備をして来たるべく日を迎えるべきだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます