第229話 仲間入りの気配
裏通りで見つけた喫茶店と、ラナのバーを上手いこと俺の領地に出店させることになったけど、普段の生活にプラスアルファされる程度なので負担も少ない。
「初めまして!シリウス様のご好意でお店を開かせて頂くラナと申します!」
そんな中で、何故か俺はラナを婚約者たちに会わせていた。
いや、俺が自分から誘った訳ではないよ?
ラナに婚約者が居ると話して、その婚約者たちと一緒に住んでると言ったら是非会わせて欲しいと前のめりで頼まれたのでこうして連れてきたのだけど、にしても居合わせた虎太郎の表情が気にかかる。
めちゃくちゃニヤニヤしてて、まるで『また上手いことたらしこんできたなぁ、坊主』と言わんばかりの顔をしていた。
いや、別にたらしこんでないよ?
「初めまして、シリウス様の婚約者のフィリアと申します」
「フローラと申します」
フィリアとフローラがまず先にそう挨拶をする。
相変わらず二人とも綺麗な所作で見てて良いね。
「セリアだよー!こっちの子はソルテで、私のお姉ちゃんのスフィアだよ!」
「……(ぺこり)」
「よろしく」
そして、セリアが元気に挨拶をしてから、ソルテとスフィアを紹介する。
それに対してソルテはぺこりとお辞儀をして、スフィアは軽く挨拶をする。
「……セシル。こっちの脳筋はシャルティア」
「誰が脳筋だ!ごほん……シャルティアだ」
相変わらずの様子のセシルとシャルティアだけど、この二人はずっとこのままで居て欲しいものだ。
「皆さん噂通りお綺麗ですね!」
ここ数日で、今世の俺の事を調べたのか嬉しそうにそんな事を言うラナ。
「フィリア様、皆さん、是非ともよろしくお願いします!私も皆さんに負けないくらいの気持ちを持ってますので!」
「そうみたいですね。ですが、それは私たちだって負けてませんよ」
「はい!」
フィリアの言葉に全員が頷く中、一人話が見えない俺がここに。
いや、分かる気もするけど……そんな訳ないよね?
「……シリウス様、相変わらず手が早い。どんどん年下が増えてシャルティアが益々焦っちゃう」
「そんな事で焦るか!馬鹿にするな!」
「まあまあ、でもシリウスくんって本当に誰でも虜にしちゃうよねー、ね、お姉ちゃん」
「そうかもしれないわね」
「……(こくこく)」
「シリウス様は素敵ですからねー」
皆が好きに言う中で、虎太郎はこの状況を分かってるようにニヤニヤしており、シエルは何やらラナを見て謎の決意を固めてそうな顔をしていた。
そうして、ラナを婚約者たちに紹介したのだが、あっという間に仲良くなって普通にウチに来るようになるラナの姿がこの時点で既に見えてるのは気のせいだろうか?
うん、まあ、何にしても仲良くできるのは良い事だよねと、俺はとりあえず先の問題を先に考える事にしておくのであった。
現実逃避と言えなくもないけど、まだ確定してないし選択はその時になってからじゃないとね。
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