第208話 二人の騎士の修練

「二人とも、お疲れ様」


セリアに抱きつかれて訓練を眺めてから、終わった頃合に下に向かうとそのまま飲み物とタオルを用意して二人に順番に渡しつつ労う。


「ありがとうございます、シリウス様」

「助かります、シリウス殿」


汗を軽く拭うと、水分補給をして落ち着く二人。


かなり動き回っていたけど、まだまだ余裕なのは流石と言えた。


「二人とも、また強くなったんじゃない?」

「まだまだです。シリウス様をお守りするためにもっと強くならないと……」

「その気持ちは嬉しいけど、無理はダメだからね?」


俺の騎士である事に誇りを持っているシャルティアなので、頑張りすぎないように念の為にそう言うとシャルティアは分かっているとばかりに頷いた。


「はい。分かっています。私はシリウス様の騎士であり、婚約者でもありますから」

「ならよし」


真面目すぎる程に真面目なシャルティアだけど、長いこと俺と共にいる事でその辺のさじ加減も分かってきたのか素直に頷いてくれるので安心する。


これなら、大丈夫そうかな。


まあ、何かあっても俺がサポートすればいいだけだけど、シャルティアが自分で気づいてくれるのならそれに越したことはないだろう。


「シャルティア殿はシリウス殿に信頼されてますね」


そんな俺とシャルティアのやり取りにシエルが微笑ましそうにそう言う。


「まあ、俺の騎士であり婚約者だからね。シエルの事も信頼してるよ」

「そ、そうでしたか……では、そのご期待に添えるように私も修練を積むことにします。シャルティア殿、休憩を終えたらもう一稽古お付き合いを」

「勿論だ」


まだまだ元気いっぱいな様子の二人は、休憩を十分に取るとその後も稽古を続けた。


にしても、シエルは前にあげた大剣を使いこなしてるなぁ……あれだけの大きさなのに動きが早いのは流石だけど……そのうちもう少し良い武器を渡したいものだ。


ドワーフの長のゾルニにでも相談しようかな?


キャンディでもいいんだけど、キャンディは今は俺の武器を作るのに色々頑張ってくれてるし、無理を強いたくはないので、まずはそちらに相談が良さげかな?


とはいえ、今は俺のあげたあの大剣を嬉しそうに使ってくれてるし、それはそのうちという事で心に留めておこう。


そんな事を思いながら、頑張る2人に負けないように俺も自分の出来ること……領主としてのお仕事を空いてる時間にする事にする。


俺も鍛えるべきなのだろうけど、現状魔法の方がこの体では使いやすいし、やるとしても女神様から貰った大人の姿に変身できる懐中時計に慣れておくのがまずは先かもしれないなぁ。


やる事がいっぱいだけど、そのうち練習しようかな。











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る