第204話 体育の授業
健全な精神は健全な肉体に宿る。
そんな言葉を思い出しつつ、俺は本日5本目のシュートをゴールに決めていた。
「お見事です、殿下!」
「ナイスアシスト」
クラスメイトの男子とハイタッチを決めるけど、似合わなすぎて悲しくなる。
本日は、体育の授業があって、バスケをしていた。
昔、俺が一人でやってたら兄様達に見つかって広まったスポーツだけど、気がつくと周辺の国まで広まって、ストリートでバスケをする人達もチラホラ見かけたりする。
体を動かすスポーツというのは、万人受けしやすいのかもしれないけど、俺は別にスポーツとしてバスケしたかったのではなく、1人遊びの延長線上で楽しむつもりだったのは言うまでもないだろう。
ちなみに、体育という物自体俺が入学して出来た新しい科目だったりする。
専門的に学びに来ている魔法使い達に無理に運動させる意味もないけど、いざという時のために体を鍛えるのは無駄にはならない。
息抜きという側面と、不可にならないという意味でも、スポーツ等は打って付けと言えたけど、強制では無いのでセーフだと思う。
とはいえ、大抵の生徒は魔法使いの欠点である肉弾戦の向上は魔法使いとしての質の向上だと分かっているのか、このスポーツと称した息抜き以外の戦闘訓練なんかも受けてたりした。
男子と女子で分けているけど、何故か俺の試合の時間は女子が全員集まるので謎だ。
とはいえ、悪いことばかりでもない。
「シリウス様ー!」
フィリアが珍しく声を上げて俺を応援してくれる。
「……シリウス様、ファイト」
「カッコイイですシリウス様!」
護衛として学園に付いてきてくれてるセシルとシャルティアも応援してくれるし、好きな人に良いところを見せたいという気持ちもあってやる気満々になる俺はかなりチョロいのかもしれない。
「殿下にボールが行ったぞ!今度こそ止めろ!」
「「おう!」」
王子という立場におっかなびっくりだったクラスメイトも、マジになって俺を止めようとしてくるあたり、かなり馴染んできたのだろうが、好きな人の前なので容赦なくドリブルで抜くと追加点を決める。
大人げない?いいんだよ、遊びはマジにならないと。
結果として、毎回俺が圧倒的に活躍して圧勝してしまうけど、それに対してクラスメイトの男子達はむしろ燃え上がっていた。
俺としても自重しようかと思ったこともあったけど、それは向こうからの要請で止めた。
マジな俺を倒したいらしい。
男の子しててカッコイイけど、彼らが魔法だけでなく、それ以外にも積極的になれるのなら悪いことでもないだろう。
それに、俺も同年代とのチームスポーツなんてやった事なくて少し楽しいし。
婚約者達にカッコイイ姿を見せられるのだから、そりゃ頑張っちゃいますよ。ええ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます