第203話 学園長とお茶
「殿下、想定以上のご活躍のようですね」
学園改革とドワーフの国での用事、そして婚約者達との楽しい日々を過ごすこと暫く。
その日、俺はギルベルト学園長と学園から少し離れた喫茶店でお茶をしていた。
学園近くは学生が多いし、学園長という大物が行って、無駄に彼らの時間を邪魔したくないから、少し遠くのお店を選ぶあたり、彼はやはり生徒思いなのだろう。
「出来ることをしてるだけですので」
「ご謙遜を。教師や生徒からの評判もかなりいいですし、視察に来た魔法師団の方からも高評価を得ております。今年から更に良き魔法使いを我が学園から送り出せそうで私としてもホッとしております」
より良き教育を子供たちに。
そしてそれにより国を更に発展させる。
俺としてもその方向性には依存はないし、学びたい若人に道を示すのも悪くないと思い始めてるので、できる限りは協力するつもりだ。
まあ、とはいえ俺はあくまで監修する立場なので、そこまで前のめりになり過ぎないようにもしているけど。
確かに、教える先生方やカリキュラムやある程度の事には口を出すけど、俺が居なくなっても恒久的に向上していく仕組みを作らないと意味が無い。
ドレッド先生やアロエ先生なんかはその辺を察してくれているので凄く助かるし、頼りにさせて貰っている所でもあった。
「時にお尋ねしますが……殿下はアロエ先生とは何かあったりはしませんか?」
ん?何故にアロエ先生?
「何か……と言われても、生徒と教師ですけど。まあ、ドレッド先生達と同じく頼りにさせて頂いてますが、学園長としては何かあった方が宜しいのですか?」
「そうですな。可愛い姪の将来を殿下になら任せたいというくらいには何かあって欲しいものですな」
え?姪?
思わぬ言葉に驚きつつも、その内容に更に驚いてしまう。
「ええっと……」
「失礼。無理にそうして欲しいと言う訳ではありませんので。ただ、異性に関して絶望的に理想の高かったあの子が最近、殿下について楽しそうに話してるのを見ると、年寄りのお節介がつい出てしまうのです」
その後は、その話は出てこなくて、学園の内情に関して俺の意見を聞きたいと言うので参考程度に話すけど、後に殆どの意見が採用されたと知るのはだいぶ先の事であった。
実務関連の事から、ちょっとした些細な事まで真面目に聞いている学園長だったけど、これだけ教育熱心な人がトップなら学園も安泰だろうと少し安心する。
流石は父様の友人だと感心しつつも、少し冷めた紅茶を飲んで、婚約者が恋しくなってくる。
帰ったらチヤホヤしてもらおうかな。
にしても、アロエ先生が学園長の姪だったとは……世の中分からないものですなぁ。
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