第201話 最高の特産品
「これ美味しいね!」
「そっか、なら良かった」
学園改革を進める中、ドワーフの国での約束もあったので俺は定期的にキャンディに会いに来ていた。
外の品が珍しいようなので、ウチの領地の特産品の白銀桃のジュースをお土産に持っていくと美味しそうに飲むキャンディに一安心。
自信はあっても、好みに合うかはなんとも言えないのでやはり緊張してしまうのは仕方ないだろう。
「白銀桃かぁ、これいいね」
「でしょ」
「シリウスくんが自信満々に進めてきたのも納得だよ」
気に入ったようなので、定期的に持ってくると約束するけど、やはりこの白銀桃には思い入れもあるので好きなる人が多いのは嬉しかったりする。
「そういえば、学園に入ったんだっけ?楽しい?」
「そうだね、色々新鮮で楽しいよ」
学園改革を進めつつも、同級生達を客観的に見て、有望そうな人達を発掘するのは中々に楽しい。
頼りになる先生達も、少しの説明で先まで理解するような天才ばかりだし、中でもドレッド先生とアロエ先生は覚えるのも早くて、それを人に説明するのも上手かったりする。
ツンデレ先生とアズマ先生も覚えが早いけど、ツンデレ先生はドレッド先生に教えて貰ってる時が一番幸せそうに見えた。
あれだね、素直に手取り足取り教えて貰えるのが嬉しいのかもしれない。
まあ、覚えた後でじゃれ合うのがデフォだけど、見慣れてきたのでそれ程気にもならない。
「学園かぁ……勉強は苦手だからなぁ」
「その分、キャンディは鍛冶の腕があるからいいんじゃない?」
「そ、そうかな?ありがとう……」
向き不向きはあるし、得意なことが一つでもあるならそれを極めれば良いと俺は思う。
そんな俺の素直な言葉に照れたように顔を背けるキャンディだったけど、「そ、そいえばさ」と空気を変えるように話題を変えた。
「頼まれてたの作ってみたけど、どうかな?」
「もう出来たんだね。どれどれ」
キャンディには武器以外にもいくつか頼んでいたものがあったのだけど、その内の一つに深めのお鍋があった。
前に作って貰ったのだけでは足りないので、別で欲しかったのでキャンディに頼んでみたけど、キャンディはやはり鍛冶の才能があるのか、武器だけでなくこういった調理器具なんかも得意なようだ。
「凄いねキャンディ、早速何か作りたくなってくるよ」
「シリウスくん、料理するんだね」
話してなかったっけ?
「まあね、今度ウチに来る?ご馳走するよ」
そう言うと嬉しそうに頷くキャンディ。
最近は婚約者達が腕を上げて、俺が直接料理をするのは新しい料理だけになってきてるので、こういう機会は大切にしないとね。
先生たちもそのうち招待してもいいかもしれないなぁと思ったので、落ち着いた頃にでも誘ってみようかな。
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