第174話 隠し部屋系のロマン
「随分と遠いんですね」
「まあ、少し特別な場所だからね」
父様の執務室を出てから、かれこれ30分程。
あまり入ったことのない城の奥まで進むが、目的地はまだらしい。
入学祝いとして父様から貰ったのは謎の鍵。
てっきり、禁書庫辺りの鍵かと勝手に予想していたのだが、俺の知ってる禁書庫とは方向が違うので、その線は消えてそうだ。
知ってる禁書庫とは別の場所に、更に禁書庫があるという予想も出来そうだが、何にしても思ったよりも面白いものの鍵なのかもしれないなぁと少しだけワクワクもする。
「兄様は、これから向かう場所にはよく行かれるのですか?」
「そこそこね。でも、僕よりもラウル兄さんの方が好きな場所かもしれないね」
ふむ……もしかして、武器庫とか?
普通の武器庫ではなく、宝物庫にあってもおかしくない程のレベルの武器ならラウル兄様がそれを見に通うのは予想できる。
まあ、そんな予想を立てておいて何だけどどこかしっくりこない感じはする。
予想が当たっていたとしても、俺にそこの鍵を渡す意図が不明なので、どうしてもそう感じるのかもしれない。
「あ、念の為に言っておくと、これから向かう場所関しては、僕と父上……あと、ラウル兄さん以外には言っちゃダメだよ?」
「分かりました」
男だけの秘密というやつだろうか?
そう聞くと、物凄く変な意味にも思えてしまうが、父様、レグルス兄様、ラウル兄様……このメンバーの場合はむしろそういった方向にはならないから不思議だ。
とはいえ、謎は深まるけど……
そんな事を思っていると、とある部屋の前で止まるレグルス兄様。
「やり方は……シリウスなら見れば覚えられるよね?」
ふむ、何やら含みのある言い方だが、何かしらの手順が必要な目的地なのかもしれない。
そんな事を思っていると、レグルス兄様は近くの花瓶に手を入れると絶妙に見えない場所にある、内側にあるスイッチを押した。
「着いてきて」
その言葉と共に、ドアではなく何もただの壁に向かって進んでいくレグルス兄様。
ぶつかるようにしか思えないその行動だが、レグルス兄様はそんな真似はせず、何も無い壁に消えるように入っていく。
なるほど……今のは魔道具か。
そう感心しながら、俺も後に続く。
すると、レグルス兄様はそれを見てから、更に何度か隠しギミックのように配置されている魔道具を使いながら、細かく移動していく。
にしても……回転扉とか、隠し通路とか遊び心がありつつもそこそこ有効そうなギミックは流石の一言であった。
そこそこ手順は多いけど、覚えられなくもないかな。
「シリウス、ここだよ」
そんな事を思っていると、最後のギミックを解除してから、とある部屋に入っていくレグルス兄様。
その後に続いて部屋に入る。
すると、その部屋には沢山の武器が置いてあった。
一つ一つが性能もよく、価値のある武器だと一目で分かったが……俺はそれらよりもこの部屋自体に違和感を覚えてしまう。
これはもしかして……
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