第142話 義兄は過保護
「へー、妖精かぁ……シリウスは本当に色んな娘にモテるねぇ」
家族への報告の次は、同じくらい信頼している、フローラの兄であり、シスタシア王国の国王であるヘルメス義兄様に報告に来るが、こちらもすんなりと受け入れられて、むしろどこか楽しげにそんな事を言われてしまう。
俺はそんなにモテるようなタイプではないはずなのだがなぁ……
「好きなサイズに変われるの?」
「そうですよ〜、でも、女王様はこのサイズが好きなので基本これです〜」
「なるほど、良い趣味をしてるようだね」
ヘルメス義兄様的に、確実に初めて出会ったはずの妖精という存在のミルに対しても、恐れずに話しかけられる度胸……ウチの家族は皆器の大きさが規格外だとしみじみ思う。
「とりあえず、報告ありがとうね。こっちでもその話は持て余しそうだし、外には漏らさないようにしておくよ」
「ありがとうございます」
「にしても、律儀だよねぇ。黙っててもいいのに」
「家族には話しておいた方が、後々楽ですから」
シスタシア王国とスレインド王国は親密な付き合いがあるし、俺にとってヘルメス義兄様は婚約者のフローラの兄で、頼れる義兄でもある。
また、ヘルメス義兄の場合は、話さなくても、恐らく何かしら勘づく可能性が高かったし、父様達もヘルメス義兄様に話すことを止めたりはしなかったので、遠慮なく報告だけはしておく。
ヘルメス義兄様なら、この話の大きさを鑑みて漏らすようなヘマはしないだろうし、もしも漏れても内密に処理すればいいだけのこと。
特に気にすることもないというものだ。
「ところで、フローラは他の子達と仲良くやれてるかな?」
妖精のことよりも、愛する妹のことが気になるのかそんな事を尋ねてくるヘルメス義兄様。
意外と過保護だからね。
「ええ、大丈夫ですよ。フィリア以外とも仲良く出来てるようですし」
「それは良かった。でも、私も寂しいから里帰りの機会はちゃんと作ってね」
「それは勿論です」
フローラだけではなく、フィリアにも定期的に実家に里帰りする機会は作るつもりだ。
大人びており、俺のことを慕って早めの同棲に賛成してくれたとはいえ、親とのコミュニケーションも大切なのは間違いないしね。
他の婚約者達は、境遇的なものもあって、その機会を作ってもあまりいい結果にはならないかもしれないが、一応我が家を気に入ってくれてるようだし、出来るだけのフォローは忘れないでおく。
あ、でも確かシャルティアはまだ両親が健在のはずだし、そのうちキチンとした挨拶はしないとな。
前に、会わせて欲しいと頼んだが、シャルティア的には結婚後の報告が良いみたいで、色良い返事は貰えなかったし、一応両親には、手紙で俺との婚約については報告したと言っていたのだが……何故だがその時微妙な表情で返信も来たと言ってたので、そこが引っかかるところ。
まあ、挨拶に行けるなら近いうちに行かないとな。
「婚約者が増えて大変かもしれないけど……フローラのこと、よろしく頼んだよ」
「ええ、お任せください」
「あと、シリウス自身も何かあったらちゃんと言うこと。君は、可愛い妹の婿殿で、義理の弟なんだから、頼ってくれていいからね」
「ありがとうございます」
本当に今世は家族に恵まれてると思いつつ、お仕事の邪魔にならないように話してから、ローザ姉様や甥っ子達と会って屋敷へと帰ることにする。
学園入学目前だし、せっかくなら外出するより婚約者達との絆の強化を優先しないとね。
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