第135話 女神様には敵わない
「終わりましたね。では、今度は私の番です」
『妖精の誓い』を、妖精女王とミルの2人とし終えると、女神様はそう言ってグイッと俺を抱き寄せる。
160cm前後と思われる女神様に抱き寄せられて、その胸元に居る俺の姿は、傍目には親子か姉弟辺りに見えそうだが、場所的にはそんな事など気にする必要もないし、仮に人前でも女神様のお望みならバッチコイなので、大人しくされるがままに身を任せた。
豊かな胸元と、心地よい感触は、恐らく俺のためにわざわざ感じ取れるよう……俺から干渉できるようにしてくれてるのか、確かにそこにあるような感じで、何とも素晴らしい。
ここに住みたいくらいだなぁ……死後は永久就職をするか。
「そなたらしくないの。嫉妬か創造神?」
「嫉妬……貴女からその単語が出るとは思いませんでしたよ、妖精女王」
「シロを通して色々と理解しておるからの。しかし、そなたが一人の人間に肩入れするとは思わなんだぞ」
「お互い様でしょう。私も貴女が『妖精の誓い』をするなんて想像してませんでしたしね」
「嘘をつくな。そなたは全てが見えておるであろうに」
「見えていても、変わることもありますよ」
俺にはついていけない、何ともレベルの高そうなお話なので、大人しくされるがままに抱きしめられる。
「……まあ、そなたの気まぐれをいちいち気にしても仕方あるまい。それにしても、シロのその姿はそなたの趣味だな?」
「ええ、そうですよ。お気に召しませんか?」
「逆だから困っておる。シロのその姿は悔しいが確かに妾好みでもあるしの」
「ふふふ、自信作ですから。前のお姿も好きですけど……こっちの方が可愛いですし」
ぷにぷにと、頬を触られる。
完全に甘やかされているのだが、不思議と心地よいのだから、流石は我が崇拝する女神様と言えた。
「それもそうだの。さて……シロとはまだゆっくりと話していたいが、そなたはともかく、創造神と長居はしたくない。この辺でお開きとしようかの」
「そうですね。私も気持ち的にこのまま愛でていたいですが……妖精女王。貴女の世界に長居は無用でしょう。この辺でお暇しますね」
「シロよ、また甘味を持ってきてよいぞ」
「ええ、分かりました」
妖精女王がお開きと言うのだから、とりあえずこの辺で本日はお暇するのが良さそうだな。
女神様も帰るようだし、時間的な制約はほぼ無いとはいえ、あまり長く居ると時間の感覚がボケそうなのでお言葉に甘えてまた今度にしよう。
この温もりと心地良さを手放すのは物凄く惜しいけど……仕方ない。
そんな俺の心情を分かっている女神様は、ニコッと微笑むと俺の頬に軽くキスをして悪戯っぽく言った。
「今度は別の方法で2人きりになりましょうね。その時は……うんと、愛でますから覚悟してください」
……うん、そんな嬉しいことを笑みを浮かべて言われたら、否が応でも期待してしまうというもの。
婚約者達とは別カテゴリーに居る、敬愛すべき女神様は、やはり俺にとっては特別なのだろうと……そう思いつつ、女神様を見送ってから、妖精女王に別れを告げて、また来る時にはもっと、お菓子のストックを増やしておこうと思いつつ、ミルを連れて妖精界から去るのであった。
にしても、濃い時間だったなぁ……
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