第105話 目覚めるとそこは

「……なるほど、これが日常になるのか」


翌朝、目を覚ますとベッドの上は楽園でした。


「すぅ……すぅ……」

「うぅん……」


左右には、愛らしい寝顔の銀髪美少女フィリアさんと、こちらも何とも可愛い寝顔の青髪美少女フローラさん。


これは、昨晩恥ずかしそうに添い寝を所望してきた二人なので分かる。


ただ、それ以外は寝た時には居なかったような気が……


「……すやぁ」

「むにゃむにゃ……しりうすくぅん……」


俺の両の足に抱きついて寝ているのは、セシルとセリアの積極的なコンビ。


両隣を正妻のフィリアと、足の悪いフローラに譲ったので二人はその位置にしたのだろうが……中々の発育のそれを両足に感じて理性的な自分を作るのに苦労する。


まあ、この2人らしいけど……


『ごしゅじんさまぁ……すき……』


そして、その2人に挟まれるようにして俺の上を占有するのはハーフエルフのソルテだ。


というか、寝言でも俺の事って可愛すぎんか?


「あら、起きたのね」

「おはようございます、シリウス様」


さて、残りの二人はといえば、既に起きているようで大きなベッドから少し離れた位置にあるテーブルに座って本を読んでいるスフィアと、朝の稽古が終わったらしく待機しているシャルティアが普通にそこに居た。


まあ、多分この2人も夜這いには参加してたのだろうが……俺よりも早くに起きてやる事をしているので寝顔は見損ねたようだ。


「おはよう、スフィア、シャルティア。早いね」

「冒険者なんてしてたから、どうしても朝は早く起きちゃうのよね」

「私は稽古もありますので」


何ともらしい二人だが、ここで一つ気がついてしまう。


「……ところで、俺はどうやって起きたらいいと思う?」


左右には抱きついてくるフィリアとフローラ。


両足……下半身にも抱きついているセシルとセリア。


そして、俺の上にはソルテと今まで添い寝をした時よりも動ける範囲が少ない……というか、ほぼ皆無な状態であった。


「さぁ?まあ、とりあえず両足の二人は起きてるようだし起こしてあげたら?」

「……バレてた」

「だねぇ、割と名演技だったのになぁ」


やはりというか、寝たフリをしていたらしいセシルとセリア。


いつも通りながも、離れる気のないセシルと、イタズラっぽい笑みを浮かべて益々抱きついてくるセリア。


うーむ、何とも強力なコンビだ。


「それにしても……将来的にはこのベッドの広さでも足りなさそうね」

「そう?」

「……うん、多分足りない」

「だねぇ、シリウスくんモテるし」


スフィアの意見に同意する二人。


シャルティアを見れば、何とも言えない表情で不器用に視線を逸らされた。


「……まあ、どのみちシャルティアが一番年上なのは変わらない」

「スフィア殿とセリア殿の方が上だろ!」

「……二人はエルフだし、ノーカン」

「ぬぬぬ……」

「まあまあ、俺はシャルティアが好きだから婚約者にしたんだし、年齢なんて関係ないよ」

「シリウス様……」


めちゃくちゃ嬉しそうな表情でうるっと瞳を潤ませるシャルティア。


「……シャルティアはあざとい」

「元はと言えば貴様の言葉のせいだろうが!」

「……シリウス様、私のことは?」


のらりくらりとシャルティアを交わして、尋ねてくるが答えは無論決まっている。


「勿論、大好きだよ。セシルもシャルティアも、セリアもスフィアも、フィリアもフローラも、そしてソルテも、皆のことを俺は愛してるよ」


なんか言ってて、自分がかなり女たらしに思えてくるが事実なので仕方ない。


ロリコン、女たらし、どんな称号だろうと甘んじて受け入れる覚悟はあるからね。


そんな俺の返事に満足気な面々だが、未だ俺を挟んでいる3人……フィリア、フローラ、ソルテもこの会話が聞こえていたようで、少し赤くなっていたのに気づいてしまったが、指摘するような野暮はしない。


可愛いしね。





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