第49話 姉チェック

その後、父様達を帰してから、レグルス兄様とヘルメス義兄様は仕事の話をすることになったので、俺は用意された自室へと向かっていた。


別に、転移魔法で帰って寝てもいいのだが、一応客人として国を訪れてるし、折角なので泊まることに。


……ヘルメス義兄様ってのも、まだまだ慣れないが、私的な場では兄と呼べと言われたので従おう。


「さあさ、こっちよ!」


案内は何故かローザ姉様。


子供達はいいのかと思ったが、甥であるルーズリーが妹の面倒を積極的に見てるそうで、大丈夫だと。


どうやら、ルーズリーはシスコンの気があるようだ。


まあ、妹って可愛いのだろう。


俺には前世含めて下に弟や妹は居ないが、子供の可愛さは姪であるティファニーやスワロで知ってるので理解は出来る。


俺自身、レシア姉様に関してはシスコンと呼ばれても甘んじて受け入れる覚悟はあるので、気持ちは分かるのだ。


「そういえば、シリウスは婚約者も連れてきてるのよね?」

「ええ」

「どんな娘達なの?」

「3人とも可愛いですよ」

「そうなの!凄く楽しみだわ!」


まあ、家族の婚約者って興味あるよね。


俺も、レシア姉様が嫁ぐ時は興味津々だったよ。


ラウル兄様やレグルス兄様、ローザ姉様の時はまだまだ幼かったし。


……まあ、今もそれなりに幼いけど、8歳……もうすぐ9歳ともなると大人に近いだろう。


「ここがシリウスの部屋よ。それで……こっちに婚約者の娘達が居るはず!」


そう言ってさっさとノックするローザ姉様。


返事が聞こえたが、声からしてフィリアかな?


ドアが開かれると、シャルティアがドアを開けており、後ろにフィリアとセシルが居た。


護衛しててくれたのかな?


「あら?この娘達皆シリウスの婚約者?」

「ええ、フィリアにセシル、シャルティアです」

「あの、シリウス様。もしかして……」

「うん、俺のお姉さんだよ」


その言葉に緊張する3人だが、ローザ姉様は3人を見てから満足そうに頷いて言った。


「うんうん!シリウスはいい趣味してるわねぇ!」

「でしょう」

「フィリアちゃんって言ったよね?」

「は、はい……」


ローザ姉様から話しかけられてなんとか答えるフィリア。


そんなフィリアをジーッと見てから、嬉しそうにフィリアに抱きつくとローザ姉様は言った。


「すっごく可愛い!それに、貴方はシリウスの正妻にピッタリかも!」

「そ、そうですか?」

「うん!この子絶対、今後も婚約者増えるから、管理のコツも教えてあげるわね」


管理のコツとは一体……


それに、婚約者がこれ以上増えることは……ないはず。


……多分。


まあ、きっと最初の前世の世間一般では、俺という存在はただの浮気男でしかなさそうだが、守りたい人を絞らなくて済むのはいい事だろうと思う。


ハーレム否定派や、純愛派の気持ちも分かるが、俺の手の届く範囲で、手を差し伸べられるならそうしたい……なんて、気取ってはいるが、自由に生きると決めた結果でしかない。


そう、今世は自由。


なので、俺は他人にどう思われようと好きに生きるのだ。


「……シリウス様、用事終わった?」

「うん、まあね。フィリアのこと見ててくれたの?」

「……必要だと思って」


遠くからでも、俺が念の為3人の周囲を警戒していたので、それほど危険もないが、側にいてくれたのは好都合だ。


「シリウス様、お疲れ様です」

「うん、シャルティアもありがとうね」

「いえ」


2人は元々Bランクの冒険者なので、戦力的には期待は出来る。


まあ、それでも出来るだけ俺が守りたいんだけどね。


その代わり、甘える時と甘えさせる時はしっかり堪能する。


なんという素晴らしき贅沢だよね。


「そうだわ!丁度いいお茶の葉が手に入ったの!皆でどう?」

「えっと……」


チラッと俺を見るフィリア。


「俺は少し用事があるから、姉様の相手お願いできる?」

「用事ですか?」


姉との交流も楽しいが、少し気になることがあったので俺は遠慮することにする。


「じゃあ、3人は借りるわね!」

「どうぞどうぞ」


そんな訳で、ローザ姉様に3人を任せて俺は部屋を後にする。


何となく、先程ヘルメス義兄様が母様を褒めた時に少しムッとしたローザ姉様を黙らせたあのウインクという奥義をしてみたかったが……空ぶったら大事故なので自重した。


でも、その代わり笑みを向けると、満更でもなさそうだったので、ウインクの練習もしてみてもいいかもしれない。


……自室でウインクの練習って、完全に痛い子だよね。


ナルシストという訳ではないが、8歳にしては少し童顔というか女顔が目立ちすぎる気はした。


子供なのだからとは言うが、8歳の後半でこれなので、今後どうなるやら……まあ、レグルス兄様方向への進化もラウル兄様方向への進化も別の意味で無理ゲーだけど。


ラウル兄様は、あのキャラじゃないと成立しないし、レグルス兄様は高みすぎて俺には登れそうもない。


思えば、俺の周りは美形、美少女、美女ばかりな気が……王族貴族ともなるとスペックの高さも半端ないのだろう。


俺?俺はまぁ……女神様からのご好意で前と同じく魔法使えるので、まあまあかな?















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る