第35話 シャルティアへのプロポーズ
セシルにプロポーズして、俺に婚約者が増えたその日の夜、俺は寝室にシャルティアを呼び出していた。
「お、お呼びでしょうか……」
どことなく、ソワソワしている、シャルティア。
こんな時間に自室への呼び出し……うん、確かに意味深にも程がある。
澄んだ碧眼は忙しなく泳いでおり、綺麗な金髪はいつも以上に手入れがされていた。
……おかしい。その前の段階の話のはずなのに、俺が誘ったような感じになってる。
まあ、いいか。
「うん、夜遅くにごめんね。少し2人で出掛けたくてさ」
「この時間にですか?」
「うん……クイーン」
俺は膝の上にいたクイーンに声をかける。
すると、クイーンは外に飛び出して大きくなってそこに浮いていた。
「じゃあ、行こうか」
「あ、あの……セシルは?」
「今日は2人きりだよ。嫌かな?」
「いえ、そんなことは!」
「そ、そう。じゃあ、行こうか」
ペガサスに2人で乗り、俺が前でシャルティアが俺に掴まる感じで後ろに乗る。
月明かりも綺麗で、シチュエーション的にはバッチリだろう。
前世の、最初の前世の日本では、残業の明かりがそこら中に灯っており、その命の輝きを恋人たちは逢瀬の道具に使っていたものだ (偏見)
まあ、この世界にも一応街灯はあるが、それ以外はあまり遅くに作業する人もおらず、警備兵くらいだろう。
それらを眼下に、空には雲ひとつない綺麗な星空が見えた。
「すごい……」
その景色に、思わずそう呟くシャルティア。
まあ、ペガサスに乗って空のデート……なんて、贅沢はあまりないしね。
この人生だからこその体験とも言えた。
……たまに、俺が一人で部屋を抜け出してペガサスで散歩してるのは秘密だけど。
頭の上では、フェニックスのフレイアちゃんが少し拗ねてるが……夜だと、フェニックスは目立ちすぎてねぇ……
昼間は昼まで、目立つし、この埋め合わせはするからと謝っておくのは忘れない。
「シャルティア」
「は、はい!」
「えっと……俺の騎士になってくれてありがとうね」
まずは、そこから入ることにした。
シャルティアとセシルのお陰で、楽しい日々になったのだ。
「いえ……私は、シリウス様の盾であり、剣です。如何様にもお使いください」
「そっか……じゃあ、そんなシャルティアにお願いがあるんだけどいいかな?」
「なんなりと」
「じゃあね……俺のモノになってくれ」
その言葉にピキンと固まるシャルティア。
勘違いさせないために俺は続ける。
「シャルティアの全部は俺のものだって、誓ってくれたよね?なら、シャルティアという女性が俺は欲しい」
「し、シリウス様……」
「まずは、婚約者だね。で、答えは?」
そう聞くと、シャルティアはコクリと頷いてから聞いてきた。
「……よろしいのでしょうか……その、私、シリウス様とは年齢も離れてて……それに、筋肉質で、背も高くて生意気だって言われてて……」
「うん、全部含めてシャルティアが欲しいんだよ。年齢?そんなの大した問題じゃない。筋肉質?綺麗でスタイルいいじゃん。背が高くて生意気?スラッとしてて、俺には美しく見えるよ」
そう、所詮は価値基準が偏ってる人達の戯言だ。
年の差なんて、愛があれば関係ない……上手い言葉だよね。
惚れるってのは、そういうのをひっくるめて愛せるってこと。
俺はシャルティアが気に入った。
だから、俺のモノにしたい。
そう、ただそれだけのことなんだ。
「……私は……」
「俺みたいな子供は嫌かな?」
その言葉に横に首を振るシャルティア。
「違うのです……でも……」
「うん」
「……子供である、シリウス様にこんな感情……ダメって分かってても……私は……私は、シリウス様の側に居たいです」
「そっか」
「騎士として、女として……身も心も全てシリウス様のものに……」
「じゃあ、命令する。俺のものになれ、シャルティア」
「……はい」
懐にある、指輪を取り出して、シャルティアの左手の薬指にはめる。
その白い指輪は、盾を使うシャルティアのために、身体能力を底上げするように術式を組んでいる。
この指輪は、魔石を全体に使っており、その魔石の元になった魔物は、ファンシーラビットという兎の魔物だ。
この兎は、小さいのに恐ろしい程に素早く力強い。
オマケに、ミスリルの剣ですら斬れない体毛は魔石の強化の魔法の恩恵だろう。
その魔石は真っ白で、シャルティアのアルビノの飛竜の盾とお揃いになるであろうほどに美しい白さだった。
シャルティアに似合うと思ったが……うん、いいね。
そうして、俺はそっと、シャルティアの頬にキスをして、微笑む。
少しというか、かなり強引だったけど、言質は取った。
3人目の婚約者、シャルティア。
1番年齢が年上だろうが、特に問題は無い。
子供が生めないかもとか、アホなことほざきそうな奴もいるだろうが……別に、その時はその時だし、それに、正妻であるフィリアとの間に子供が居れば文句など言える訳ないしね。
そんなやつより私の娘を……とか言われても、いや、あんたらをお義父さんとか呼びたくないし嫌だとスルーする予定だ。
そう、自由に生きないとね。
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