殺し屋しかいない世界

カラスヤマ

第1話

古臭い教会に集められた八人。

皆、長机に座ると半年に一度の定例会が静かに始まった。仮面を被った司会進行役の幼い双子が、出席確認をしている。

数は、八までしかないのに何度も数え間違った。



やっと人数確認を終え、会議が始まる。すると始まって早々、寝癖をつけた青年が。


「僕さ、今日で引退するよ」


突然、引退宣言をした。


他の七人はひどく驚き、進行役の双子は、ギャッフンと尻餅をついた。それでも皆、静かに男の次の言葉を待った。



待った………。



「………………」


「………………」


しばらく待ったが、何も男の口から出てこない。男は、なぜか満足そうに席を立つと、教会を出ていこうとする。


「えっ、ちょっ、待てよ。は? 引退するって言った? 今」


小学生のような幼さの残る少女が、教会を出ていこうとする男の左腕を掴んだ。


「引退する。決めたんだ。だからさ、もう殺しはしない」


「いやいやいやいや、殺し屋を引退して何をやるんだよ! 殺し以外、私達は何も出来ないだろうが」


実は、ここに集まった八人。彼らの正体は、全員名の知れた殺し屋だった。


「好きな人が出来た。その人が嫌がるから……。だから、もう殺しはしない」


男は、殺し屋の世界ランキング一位の実力者。


「えっ!? 意味分かんない。好きな人? 聞き間違い? あうぅ、すごく気持ち悪いぃ。吐きそう……」


頭をガクガク揺らし、放心状態のこの少女は殺し屋ランキング二位。



男の嵐のような引退宣言から数日後、少女もまた殺し屋を引退した。



それから二年の歳月が経ったーーー。


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