危機一髪?
どうしてこうなった?
ただいま首筋を絶賛スンスンされています。
しかもベッドに押し倒されて。
先程までケモ耳は垂れて、よくみればふわふわの尻尾もだらん、と垂れていたのに「ん…いい匂いです…」って言いながらケモ耳はピン、と立ち、尻尾ブンブン振ってますよ。
「アリヤ、本当にいい匂いです…」
琥珀色の瞳が艶っぽく光る。ってかいつ私の名前を?疑問を口にすれば、だって精霊達がそう呼んでいたでしょ、と返ってきた。
ベロリ、と喉元を舐められぬるりとした感覚にひっ、と声が出る。
「ああ、可愛いです。声も姿もその存在全てが。」
全て食べてしまいたい、と唇を舐められ、びっくりして薄く開いた隙間から舌が侵入してきて口腔内をくまなく嬲られる。
「んっ~、ん~!?」
予想外の事に慌てて逃れようとしたけれど抑え込まれていて逃げれない。
自然と眦に涙が溜まる。
「アリヤ…?」
急に大人しくなった彼女を確認すると瞳に涙を溜めている。
「すみません、嬉しくて…」
止まりませんでした、と言い訳しつつ、こぼれた涙を舐めとる。そうだった、彼女は人族で番の概念が無かったんだ…
それでもやっと見つけた番。離れたく無いし、離したくない。少しでも存在を感じていたい。それでも燻る欲求を押さえつけて彼女を膝の上に横座りに乗せてベッドに腰掛ける。
「あの…降ろして下さい…」
押し倒されていた状況からは抜け出せたけど、膝の上って何の罰ゲームなの?お腹のあたりをしっかり抱き抱えてうなじにアレクさんの息を感じる。さっきも恥ずかしかったけど、コレも恥ずかしい!
アレクさん、ごめんね、とは言っているけど反省している雰囲気が無い。相変わらず熱っぽい視線で私を見てる。
油断したらパックリ食べられてしまいそうだ。性的な意味で。
「あ、あの、お茶飲みませんか!」
逃げませんから、お茶を飲みながら話をしませんか、とお願いしてみる。
渋々ながら了承してくれたが、お茶を準備している間もアレクさんはビッタリ後ろに付いていた。
まさか、コレがデフォになるんだろうか…?
背後の気配を気にしつつ、お茶とお菓子をテーブルに準備し、アレクさんと対面に座ろうとしたら、ぐいっと引っ張られて結局膝の上に座らされた。
「…一人で座りたいんですが?」
一応訴えてみたけれど、嫌です、離したくない、膝の上に座ってくれないと暴れますよ、とか物騒な事言うし。
諦めて膝の上に収まる事にした。
「いくつか確認したい事があるんですが?」
アレクさんを上目遣いで見上げる。
答えられる事は答えますよ、の返答をもらい気になった事を聞いてみた。
ではでは。いつから私を観察していたのか?
「ここ10日程…」
普段、私と小鳥の姿をとっている火の精霊がいるんだけど急にいなくなったのはどうしてか?
「あー、邪魔されたくなかったので結界を…」
…邪魔って。それじゃ先程のあの状況危なかったって事か。しらけた視線になるのは勘弁して欲しい。
番って言うけど私はわからないんだけど本当なの?
「間違いないです。人族のアリヤは分からないのかもしれないけど、深いところで心というか、魂が共鳴していますから…」
私には正直な所、番かどうかと言われると感じることが出来ない。人族はそういうもので様々な種族の番になれる可能性があるけど、人族側は気がつかないからやっと見つけた時には既に人族同士で番っている事が多く、こうして見つけられた事はとても幸運だそうで。
向こうの知識でも番は物語の概念だから余計分からないのだ。
こうして話している最中も絶対離さないとお腹のあたりに腕を回してがっしり抱えられている。
べったりなこの状況、どうしたらいいのやら?とりあえず普段は結界を解くようにして貰いましょうね、フェニーはじめ他の子達が来れないのは困るしね。
それにしてもこれからどうしよう?
でも色々な場面でアレクさんの結界に助けられる事になるのはまた別の話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます