それってどういう事ですか。

一瞬視線が外れたと感じた時には既に喉元に熱い息がかかる。


もうダメだ、そう思った。


「見つけた…」


そんな呟きと共に首筋をぞろりと舐められた。


そこで私の意識はフェードアウトした。






「何故?」そんな言葉を吐き出しつつ、意識を失い崩れ落ちるアリヤを抱き止めた人影。大切な宝物を運ぶ様に大事に抱き上げると迷う事なく寝室に運び込みそっとベッドに寝かせた。






「見つけた…」その言葉が聞こえ、首筋に生暖かい感触。意識が完全にフェードアウトする直前、誰かに抱き留められた様な。


意識が浮上し、さっきの狼の気配はここ最近感じていたモノだとぼんやりと思った。


うっすらと目を開けると見慣れた天井。どうやら生きている。また神様様に会うのかと覚悟していたけど。


ほっとしてため息がでた。


「目が覚めましたか?」


艶のある低い声がすぐ側で聞こえた。


びっくりして声がした方を見れば銀髪に琥珀色の瞳のイケメンが覗き込んでいた。


「~~~!!!」


声にならない悲鳴を上げた、けれどもそれは唇をペロリと舐められた事で封じ込められた。


「な、な、な…」


「やっぱり間違いない…」


首筋に顔を埋めスンスン匂いを嗅ぎながらブツブツ何か言ってる。


理解の範疇を超えている。一体何が起きてるの?フェニー達は?考えだすとキリがない。


いまだに首筋をスンスン匂って「いい匂いです…はぁ~っ…」っと変に艶っぽいため息をつくイケメンにやっと「貴方誰ですか!?」って言えた。イケメン、めっちゃ驚いていたけど。


「私は貴女の番ですっ!」


番?ってどう言う事?そんな事を言われてもピンとこないよね。思わず眉を顰めてしまう。そんな私を見ながら、分からないのか?どうして、オカシイ、ってブツブツ言い出したよ。


「そんな事言われても困ります。番なんて分からないし、そもそも貴方、何処の誰何ですか?!」


やっといえた。そうそう、あれだよね、あれ。番ってあっちの世界の小説の中だけに存在する概念、運命の人って言うのが一番近いんだろうけど。


そんなの、知らんがな。


「…済まなかった、私はフェンリル族のアレックス、アレクと呼んでほしい。」


へぇ、イケメンさん、アレックスって言うんだ。んで、フェンリル族?って狼の魔物だっけ?


…ん?先程の狼の魔物さん、やっぱり貴方ですか?!

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