あ、話せるんですね?!
ランチを食べ終え、帰り支度を整える。ついでに食後のデザート用にバナンの小房をもぎ取りバッグにしまった。
「さて。私は家に戻る事にするよ。フェニーはどうする?」
フェニーは小鳥の姿をとっているとはいえ精霊なので先程の他の子達と同じように戻るのかどうするのか尋ねてみた。出来るならもう暫く一緒にいたい気もするけど。
するとフェニーはバナンを啄むのをやめ、こちらに飛んでくると頭にポスン、と着地した。チチッと鳴き声と共に『我も一緒に』とあたまの中に響いてきた。
あ、一応話せると言うか意思の疎通が出来てるなら話が早い。今日はここまでにして帰宅する事を伝え帰路につく。
多分だけど機嫌よく囀るフェニーを頭に乗せたまま歩いていると。チチッ、とフェニーが鳴いたと思ったら小径からちょっと入った所の茂みの上でクルクル回っている。何かと近づくと赤い実がたわわに実ってた。
『これ美味しい。我も食す。』
私が見つけたのを確認すると頭の上に戻ってきた。そこが定位置になるんでしょうか。どうでしょうか。精霊様で意思の疎通も出来るから頭の上で粗相の心配は無いだろうけどね。
ではでは。美味しいと言うコレ、どう見ても大きなラズベリーなんだけど、実際のところはどうなんだろ?
「鑑定」
・ラズベリー
・生食可。
・染料としても使用出来る。
生食出来るみたいだし、ラズベリーってことはきっと美味しいよね。取り敢えずゴルフボールほどもあるラズベリーを一つ食べてみる。
あ。コレも美味しい。大きいからどうかと思ったけど、甘酸っぱくて美味しい。そのまま食べるのもいいし、ジャムにしてもいいかも。早速コレも適当に収穫してバッグに放り込んだ。
帰宅するまでにフェニーがちょくちょく食材を教えてくれて果物と食材をいくつか入手する事が出来たのだった。食のレパートリーには困らなさそうで何よりだ。って作るのは私だけどね!
それにしても見た目や名前は同じでも大きさが違うってのは。帰りにバナン・パイン種ってのも出てきて食べてみたら味はパインだった。もしかすると桃やパインは存在しないのかな。だとしたら残念だ。
そんなこんなで結局家に戻ったのは日が傾きかかる頃になっていた。寄り道をしながらだったので行きの倍以上の時間がかかってしまったが食材が色々入手できたからご愛敬だろう。
取り敢えずフェニーが羽を休められるようにクッションで寝床を作り、ベッド傍のローテーブルに設置。これで取り敢えずいいだろう。
で、今度は自分の為にコーヒーを準備する。あれっ、って思った?そうだよね、そう思うよね。実はコレにはカラクリがある。こちらの世界に来る時どうしても欲しいとタダをこね、条件付きで食材を使えるようにしてもらった。
コーヒーはそのうちの一つ。探せばあるのかもしれないけど、すぐには入手出来ないだろうから、基本的な食材は家の中限定で調理出来るのだ。
欲しい食材が必要量だけ備え付けのストッカーや冷蔵庫から取り出して使える素敵設定なのだ。ありがたや。この世界の食材は追々調べるとして。
そんな訳で物珍しそうにコーヒーを見ているフェニーを愛でつつ一休み。
では、食事の準備に取り掛かりますかね。バッグから今日の戦利品をいくつか取り出しキッチンに並べた。
さて、何作ろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます