【未完】運良く楽してハーレム生活~何も問題が起こらない、モテモテ過ぎて楽しい人生~

キョウキョウ

第1話 始まりの約束

「ハルくんは、わたしとけっこんするもん!」

「ちがうよ! わたしがハルトのおよめさんになるんだから!」

「むぅ!」

「んー!」


 目の前で、2人の女の子が取っ組み合いのケンカをしていた。それはもう、とても酷い有様だった。お互いの服を掴んで引っ張り合い、もう少しで殴り合いのケンカに発展しそうな状態。俺は、その間に挟まれている。


「ちょっとまって! ケンカは、だめだよ!」

「ハルくん、とめないで」

「これは、だいじなおはなしなの!」


 間に割って入り止めようとするが、ヒートアップしている2人は止まらなかった。お互いに髪を掴もうと、手を伸ばすのが見えた。必死に止める。


「だめだよ!」

「ハルくんは、わたしとちーちゃん、どっちがすきなの!」

「もちろん、わたしだよねハルト!」

「うっ」


 止めようとすると、2人の矛先が俺に向かってきた。目をキッと釣り上げ、怒りの表情を浮かべている。答えによっては、彼女たちの反応は酷いものになるだろう。


 1人を選んでしまうと、選ばれなかった方が悲しむ。どっちも、悲しんでいる顔は見たくない。子どもだった俺は、どちらか1人を選ぶことは出来なかった。


「ぼくは、どっちもすき! ひなちゃんも、ちーちゃんも、どっちもだいすきだよ。だから、えらべない」

「う!」

「むぅ!」


 家が隣同士で、生まれた時からずっと一緒に育ってきた幼馴染の皐月陽菜乃さつきひなの

 幼稚園からの付き合いで、小学校でも同じクラスになった東倉千尋はせくらちひろ


 俺は、2人の女の子から言い寄られていた。だけど、どちらか一方だけと結婚するなんて決められない。どっちも好きだったから。それを正直に打ち明ける。


 真っ直ぐな目で、交互に彼女たちの瞳を覗き込みながら好きなんだ、と告白する。


「……ぁぅ」

「……ん」


 好きだと言うと彼女たちは、顔を真っ赤に染めて満更でもない表情。しばらくの間、俺たち3人は黙ったまま見つめ合った。ケンカは止まって落ち着いたようだが、問題は解決していない。俺は、こんな結論を下した。


「ぼくは、すきなひととけっこんする! ちーちゃんもすき、ひなちゃんもすき! だから、ふたりとけっこんする。わかった?」

「ぅ……うん」

「……わかった」


 子どもだった俺は、勢いに任せて2人を嫁にすると宣言した。念を入れて、2人に確認を取る。恥ずかしそうだが、しっかりと頷く彼女たち。


「みんなで、なかよくね! ケンカしたら、ぜっこうだからね」

「わかった! ケンカしない」

「なかよくして、ハルトのおよめさんになる!」

「よし!」




 俺が子どもだった頃、そんな約束を交わした。そして、その約束は今も生き続けている。相手は彼女たち2人だけではなくなり、女性の数が増えても適用されている。それを許してくれる女性たちに囲まれて、数多くの女性たちに愛された俺は、幸せな日々を過ごしていた。

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