ひみつのおしごと
甘井ふたば
売春
私はサクラ。この街冒険者ギルドで冒険者さん達のお世話をする仕事をしているわ。
例えば、給仕や怪我の手当。他にもあんなことやこんなこと……。まぁ色々なことをしているわ。
国境の間にある大きな宿場町だから、冒険者さん達の行き来が激しいの。毎日疲れることが多いけど、この仕事自体楽しいし、優しい冒険者さんもいっぱいいるから今が一番幸せ。
でも、給料が良いとは言えないかな。
月によって苦しい時もある。月末の今は少し苦しい。いつもじゃないけど、春を売る秘密のバイトでなんとか乗り切ってる。
このバイト自体は頻繁にするわけじゃないけど、相手が幸せになってくれるお仕事。私も気持ちいいから好き。
数日後、そのバイトの誘いが来た。
「ねぇ、サクラさん。明後日の休みって暇だったりする? いつものお願いしたいんだけど……」
「いいですよ。丁度今月苦しくなってきてたんで」
これでなんとか今月はやっていけそう。
満足してもらいたいし、下準備はしっかりしないとね…!
アレとアレを混ぜて秘密のお薬作らなきゃ!
バイト当日。依頼主のおじさまの家に来た。
トントントン—―――。
玄関の扉をノックすると、ドタドタとした足音が近づいてきて扉が開く。
「やぁ、待ってたよ。こっちに来てくれ」
私はおじさまについていき、裏庭へ行く。
「これを見てくれ。」
そう言い、指を指し示す。
「前までは太くて立派だったんだが、萎えてしまってな…。」
「そうなんですか…それでは元気にしますね」
私は調合したあの粉末薬を取り出し、握る。
「枯れ木に花を咲かせましょう!」
私は萎えた枯れ木に向かって粉を撒く。
すると、暖かな風とともに綺麗な桜を咲かせる。
地面には草が生茂り、土筆やタンポポが生えてくる。
「私の売った春には満足していただけましたか?」
「あぁ、気持ちよい春の訪れだ。幸せな気分だよ」
ひみつのおしごと 甘井ふたば @Amai_28ftb
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます