第8話

 街につきました。

 ジョーンさんたちと別れたあと、まずは広場へと向かいます。

 邪魔にならないところに腰かけて道行く人を鑑定します。

「【鑑定】」

【鑑定結果

 クルル

 続きはWEBで】

 検索窓のクルルの後ろに、街の名前のキバノといれ、そして……黒髪の少女と入れます。

 黒髪の少女は、妹のことです。

 この世界で黒髪は珍しいのです。

 妹はそれは綺麗な黒髪を腰まで伸ばしていました。20歳で小柄な妹は少女に見えるはずです。

 28歳の私でさえ、少年に間違えられるくらいですから。

 検索をかけたこの町のクルルが、妹と何らかの接触があれば情報が出てくるでしょう。

 検索結果ゼロ。

 クルルさんと、妹にはつながりがないようです。

 どんどん他の人も鑑定して、妹の情報が得られないか検索してきます。けれど、何の情報も得られません。

 しばらくして場所を変えて、同じように妹の情報を探します。

 次に、ちょっと裏通りに移動しました。。

 考えたくはないですが……悪い人に連れていかれた可能性がないわけじゃありません。

 悪人が情報を持っていることもありますよね。妹を見つけるためです。怖いと言って避けているわけにはいきません。

 ちょうど後ろ暗そうなことがありそうな人を見つけました。隠れて遠くから見つからないように鑑定します。

 距離があっても、対象物が見えていれば鑑定はできるのです。

 何人か鑑定しましたが……妹の情報は得られません。がっかりしたような、悪い人たちにつかまったりしていなくてほっとしたような。

 日が暮れてきました。

 鑑定する対象物の姿が見えないと、鑑定魔法はうまく使えないので、続きはまた明日ですね。

「はー、何も情報を得られませんでした。って、まだ1日目ですね。明日は、そう、旅人っぽい人とか、えーっと、ギルドの人とか、いろいろ試してみましょう」

 ポケットをあさります。

 お金は小銀貨4枚。

 安い宿に泊まってご飯を食べたらなくなってしまうので、明日は仕事もしないといけませんね。

 まずは泊まる場所を探しましょう。宿屋の看板を見つけて鑑定します。

「【鑑定】」

【鑑定結果

 馬屋亭

 続きはWEBで】

 はいはい。検索窓に、馬屋亭と街の名前キバノと入れて検索。

 何やら、予約サイトのレビューみたいなページにつながります。口コミ情報ゲットです。

【部屋の掃除は行き届いているが、食事がまずい。1泊小銀貨5】

 あ、だめです。お金が足りません。掃除がきちんとされたところっには引かれますが……。

 その調子で安くて評判のいい宿屋を探します。レビューサイトで一度にほかの宿屋の情報も得られればよいのですが、そううまくはいきません。

 実物がないと鑑定できないのです。

 移動して宿屋の看板を見つけて、鑑定してから検索という手順を踏まなければいけません。

 通りを2つ移動して見つけた宿屋に入ります。評判も良く、お金も足りる宿です。

「すいません、部屋は開いていますか?」

「ごめんなさいね。今、ダンジョンがお宝祭りだとかで、冒険者が次々にやってきて満室なのよ。たぶん、どこもいっぱいだと思うわ」

 え?

「どこも……いっぱい?」

 そういえば、お宝祭りだとジョーンさんが言っていました。人がたくさん来るから商売になる……ということは、宿も当然人でいっぱいですよね……。

 ってことは野宿をしなくちゃならないのでしょうか?

 えっと、さすがにちょっと野宿は怖いですね。どうしましょう……。

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