喪女OLの私が異世界で勇者の役目を押し付けられた件について

あぐり うい

第1話 異世界転移

「それでは、勇者様のご登場です! 」


バ ンッ!


目の前の扉が開かれて、会場の視線がふりそそぐ。


「は? 」


私はそこに立っていた。


喪女OLの私が異世界で勇者の役目を押し付けられた件について。


「いやいやいや! 私違います! 勘違いです! 勇者じゃありません! 」


私はさっきまで某エルフの青年が主人公のゲームをしてグフフしていただけの喪女OLなんです!


「勇者はみんなそう言うんですよ。さあ、儀式の時間が押してるからさっさと抜いて! 」


「えー・・・」


違うって言ってるのに、多分この城の家来みたいな人が私を押して剣の前へと立たせた。


どうすんだよこれ・・・。


周りの人の視線は今か今かと私がこの剣を抜く事を期待している。


けど私は勇者なんかじゃない。何度も言ってるけど普通の喪女のOLだ。


抜けないに決まってる。


そうしたら場は大白けだ。


でも抜けないと分かったら新しい勇者を探してくれるかも・・・?


私はそう判断して綺麗な青い柄のエクスカリバーを握った。


そしたら意外にもスポンと簡単に抜けてしまった。


「おお・・・! 」


「いや違っ! これ最初から誰かが抜いてました! 」


「勇者は皆そう言うのです」


それ言っときゃ勇者がみんな納得すると思ってねぇだろうな?


大問題ですよ!これは!


この人偽者を勇者にしようとしてます!


私はそう叫びたくなったが、大きな声で人前で叫ぶのが恥ずかしかったのでやめた。陰キャなんで。


というか、場の雰囲気が有無を言わせない感じで、言えなかったのだ。


「さあ、聖剣エクスカリバーを持って予言通り姫を奪った魔王の城へ向かって下さい勇者様! 」


バ ンッ!


また扉が開いて、向こうには青々しい緑の草原が広がる。


私は胸にエクスカリバーを抱きながらとぼとぼと新しい世界へと飛び出した・・・。



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