第2話

「先輩、彼女欲しくないんですか?」

「正直に言えば欲しい。すごく欲しい」

「じゃあ、なんで彼女作らないんですか?」

「え?」


 柳沢の言葉に俺は驚くだけ。すると、彼女はウゲェと口を広げて苦々しい表情を作る。


「まさか、自分から声もかけずに彼女作ろうとか浅はかかつ思いあがった態度取ってるんですか?」

「そんなに言われるような事か?」

「そりゃあそうですよ。女の子から告白だなんて早々無いですよ。あんなの漫画やアニメの世界でしかありえません」

「それは……言い過ぎじゃないか?」


 なんでそんなに言い切ってしまうのか……。情報源(ソース)はどこだ?


「女の子はいつだって男子からの告白を待ち続けているんです。アタシだって今の彼氏と付き合い始めたのは好きだって言ってくれたからですし」

「なるほどな」


 感心した声を出すと、彼女はキッと強い視線で俺を睨みつけてくる。


「だから!先輩もアタックあるのみです!好きな女の子にアタックすれば先輩なら何の問題もありません!今日からでも彼女ができますよ」


 本当に大風呂敷を広げる奴だ……。

 俺は彼女の言葉にあらがいたい気持ちを抑えきれず、自然と言葉が口から出た。


「柳沢、俺と付き合ってくれ」

「アタシ、彼氏いるんで。二股はチョット」

「フラれたぞ」

「何を恨みがめしい目で見て来るんですか。彼氏持ちの女に声かける方がどうかしてます」


 正しくは“恨みがましい”なのだが、ここで指摘するとまた小言が飛んできそうなので口を閉ざす。


「そもそもアタシの事本気で好きなんですか?」


 彼女の言葉に俺は打ちのめされる。

 確かに……。どこが好きなんだろう……。


「いや、即答してくださいよ。なんで告白されたんですかアタシ。嫌がらせですか」

「それだ!」

「ぶん殴りたい。先輩だってことを今は無しにして全力でグーをその綺麗な顔にめり込ませたい」


 物騒な後輩である。

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