満の修学旅行
ずるい
今日から二年生は修学旅行。満が居ない代わりにお昼はクロッカスのメンバー(+空美の彼氏の藤井くん)で集まって食べることに。満以外と一緒に食べるのはいつぶりだろうか。
「まこちゃん、満ちゃん達に会えなくて寂しいね」
「うるせぇな」
「可哀想だからグリンピースあげる」
「食えよ! 子供か!」
「代わりにウィンナー貰うね」
「ちょ! お前なぁ……!」
「もー……しょうがないなぁ。卵焼きもおまけしてあげよう」
「あのなぁ……って、なんか黒いもん入ってんだけど。なにこれ」
「キャビア」
「……ウィンナーもう一本やるよ」
「えっ、やったー。わーい」
空美を差し置いて柚樹といちゃいちゃする藤井くん。空美の無言の圧に気付くと、お詫びと言わんばかりに彼女の弁当箱にハンバーグを入れた。そのハンバーグを見ると、空美の拗ねている顔が一瞬で緩んだ。
「あははっ。なにこれ。猫の形してる。可愛い〜。まこちゃん作ったの?」
「……たまには……な……」
「私のため?」
「あぁ!? 自惚れんなバーカ!」
「ふふ。素直じゃないなぁ」
よしよしと藤井くんの頭を撫でる空美。よくそんな人前でいちゃつけるなと呆れてため息を吐くと、スマホが鳴った。満だろうか。期待で胸が高鳴る。
「みのりん、スマホ鳴ったよ」
「……食事中なので後で確認します」
食べ終わってからスマホを確認する。残念ながら、先ほどの通知は美麗からだった。満からのメッセージは一件も無い。ムカついて満とのトーク画面にスタンプを送りまくる。『ちょっとくらいわたしのこと気にかけなさいよバーカ』『バーカバーカ』と、悪態をつきまくるが、既読すらつかない。ムカつく。たった三日彼女に会えないだけで寂しくて仕方ない自分に、そんなわたしと同じ気持ちになってくれない彼女に。それでもいいから側にいてほしいと望んだのは確かにわたしだ。だけど、少しくらい気にかけてくれてくれてもいいじゃない。そう思っていると、空美から満の写真が送られてきた。青商生では無い大人の女性に抱きつかれて物凄く嫌そうな顔をしている。
「誰よこの女」
「望くんのお姉さん」
「……ふーん」
「満ちゃん個人の写真も来てるよ」
新幹線の窓にもたれかかって眠る満。女性を背負い投げする満。お土産コーナーで真剣な顔をしてお土産を選ぶ満。マスコットと笑顔で写る満。キャラメルがかかったポップコーンを食べる満。カラフルなわたあめを食べる満。ステーキを食べる満。チュロスを食べる満。可愛らしいキャラクターの形をしたまんじゅうに容赦なく齧り付く満、ハンバーガーを食べる満、空になったポップコーンの箱を抱えながらポップコーンの屋台を見つめる満——
「って、食べてばかりね。あの子」
思わず突っ込んでしまう。あの小さな身体のどこに入っていくのだろうか。というか、まだポップコーン食べる気なのか。呆れつつ、なんだかんだで全て写真フォルダに保存してしまう。そんな自分にもまた呆れてしまう。しかし、写真の中の彼女はいつもに増して可愛く見える。喋らないからだろう。改めて、見た目だけなら美少女だなと苦笑いする。一目惚れして、中身を知って幻滅する人が後を立たないのも納得してしまう。わたしも彼女の性格は最悪だと思っているから。乙女心が理解できないし、暴力的だし、口が悪いし、都合が悪くなるとキスで誤魔化すクズだ。
だけど、彼女は誰かに暴力を振るうことはない。喧嘩をするのは、いつだって誰かのため。わたしのことだって、なんだかんだで愛してくれている。口は悪いけれど、根は優しい。分かっている。
ただ、彼女がくれる愛はわたしの愛とは少し違う。幸せであればそれで良いなんて、わたしは言えない。側にいてほしい。わたしの隣で幸せになってほしい。誰かと笑い合っている彼女を見るともやもやする。取られるんじゃないか、離れてしまうのでは無いかと不安になる。妬いてしまう。その度に彼女は言ってくれる。『あんたが手放さない限りは側にいてやりますよ』と。その言葉が嬉しくもあり、上から目線な言い方がムカつく。
彼女にももっと縋ってほしい。寂しいって言って。会いたいって言って。わたしと同じくらい重い感情を持ってほしい。ムカつく。どうしてわたしはこんなにもあの子にときめいてしまうのだろう。どうしてあの子が、あの子の笑顔がこんなにも可愛く思えるのだろう。どうしてあの子はわたしと同じ気持ちになれないのだろう。ムカつく。恋という感情に振り回される自分に、恋という感情とは無縁な彼女に。そんな彼女に、わたしに恋をしろわがままな感情を抱く自分に。早く甘えたい。帰ってきてほしい。わたしは彼女が嫌いなのに好きすぎて、矛盾した感情でおかしくなりそうなのに、彼女は少しも狂わないなんて、本当にずるい。
夕方になって、ようやく彼女から返信が来た。『別にあんたのこと忘れてたわけじゃないから』という言い訳のメッセージと共に、集合写真が送られてくる。そこには青商の生徒だけでなく、蒼明高校の制服を着た生徒も数人写っていた。分かってない。わたしが欲しいのは貴女だけなのに。こんな、他人と楽しそうにはしゃぐ貴女なんて見たって、一緒に居る子達に妬いてしまうだけなのに。分かってない。分かるわけがない。彼女は恋心を理解出来ないのだから。拗ねて、ベッドの上にスマホを放り投げる。すると電話がかかってきた。彼女からだ。
「何よ」
『別に用はないけど、声が聴きたいかと思って』
「……別に」
『素直じゃねぇなぁ』
けらけらと、彼女は電話越しに笑う。ムカつく。恋心なんて分からないくせに。わたしに恋してないくせに。わたしじゃなくても良いくせに。
だけど、彼女の声を聴いた瞬間、不満や寂しさは一瞬で吹き飛んだ。そんな単純な自分にもまたムカつく。
『また夜に電話するから。待ってて』
「……もう切るの?」
『ん? 何? 切らないでほしい?』
「……もう少し話したい」
『はははっ。珍しく素直。でも切りまーす。また後で電話するから。それまで我慢してて』
本当に切られた。
「っ……もー! ほんっとクソ! 人の気も知らないで!」
スマホをベッドに叩きつける。しばらくすると、またスマホが鳴った。彼女ではなく、部活のグループだ。日向さんから写真が送られてきた。誰かに肩車される満の写真。『満の下にいるの誰よ』と送ると『王子っす』と日向さん。空美の従妹のことだ。わたしはあの子のことが好きではない。満と同じくらい性格が悪いと思っているから。良い人ぶってる分、満よりタチが悪い。
『あぁそう。相変わらず仲良しね』と嫌味を送る。するとすかさず柚樹が『実が拗ねてるよって満ちゃんに伝えておいて』と割り込んできた。家に居ないくせに。事実だけど。『うぃっす』と日向さん。『拗ねてない』『やめて』『柚樹の馬鹿』と返す。すると今度は満から通知が来た。動画だ。どうやら、パレードの様子を録画していたらしい。雑音に紛れて、空美の従妹の声が入る。『満ちゃん、実さんに会いたくならないの?』と。すると彼女はこう答えた。『修学旅行終わったら会えるから別に』と。分かっていたけどやっぱりムカつく。だけどその後にこう続く。『あの人は多分寂しがってんだろうなぁ』と。分かっているならもっと構ってくれても良いのに。空美の従妹が私の気持ちを代弁する。すると彼女はくすっと笑ってこう答える。
『大丈夫。帰ったら嫌というほど可愛がるつもりだから』
心臓が飛び跳ねる。それ以降も二人で何か話していたが、会話は頭に入らなかった。
こういうところが嫌いなんだ。年下のくせに偉そうに。
惚れた弱みなんていうけれど、彼女にはそれが無いなんてずるい。ずるすぎる。わたしばかりドキドキさせられて悔しい。わたしの方が年上なのに。
彼女の何気ない言葉に悶えていると、部屋がノックされた。食事の時間らしい。もうそんな時間か。
風呂と食事を済ませて部屋に戻り、しばらく待っていると、スマホが震えていた。すぐに出る。
『お。やっと出た』
「お風呂入ってたの。タイミング悪いのよ貴女」
『そんなこと言われても知らねぇよ』
「……今一人?」
『一人だよ。うみちゃんが同室なんだけど、ユリエルのとこ行っちゃったから』
「……あぁそう」
『何? テレフォンセックスでもする?』
「しないわよ! てか、何よそれ……初めて聞く単語なんだけど……」
『あぁそう。じゃあ後で調べてみて』
「調べなくてもいやらしい意味なのはわかる」
『ただのコミュニケーションですよ』
「……そういう冗談はもう良い」
『へいへい。揶揄ってごめんね。で? 実さんは今日何してたの?』
「別に。いつも通り」
『お昼は? ぼっち飯?』
「空美達と一緒だった」
『ふーん。そっか』
「貴女は随分と大人数で移動してたのね。蒼明高校の生徒もいたけど、あれは何? 友達?」
『あぁ、うん。そう。向こうでたまたま会って』
「ふーん。……あと、星野くんだっけ。あの子のお姉さんと随分と仲良いのね」
『なんで急に望の姉の話が出てくるんだよ』
「空美から写真貰ったから。綺麗な女の人といちゃついてる写真」
『いちゃついてねぇよ。あの人が勝手に抱きついてくるだけ。あの人私のこと好きだからさぁ。あ、別に恋愛的な意味じゃないよ』
お互いに今日の出来事を報告しあうだけの他愛もない話が淡々と続く。と、そこに『ただいまー』と空美の従妹の声が入ってきた。
気付けば時刻は午後十時を回っていた。消灯時間だからと電話を切ろうとする彼女を、もう少しだけと引き留める。仕方ないなとため息を吐いて、わたしのわがままに付き合ってくれる彼女。『あんたじゃなくてもいい』とか言うくせに、わたしのわがままを聞いてくれる。好きだとか、愛してるだとか、演技ではなく本心からそう言ってくれる。『あんたじゃなくても良い』も本心だけど『愛してる』もまた、彼女の本心なのだ。だからわたしは、彼女に『愛してる』と言われてしまうとわたしに恋してほしいなんて言えなくなってしまう。それはわがままだと、彼女には無理なのだと、理解してしまっているから。割り切るしかないと、理解してしまっているから。
『満ちゃん、私もう寝るね』
『ちけぇよ。んな耳元で話さなくても聞こえるわボケ。はよ寝ろ。おやすみ』
『ああん冷たい……』
『うるせぇ』
『んふふ。おやすみー。実さんも、おやすみなさい』
「……おやすみ」
ポスっと、ベッドに何かが沈むような音が少し離れたところから聞こえたかと思えば、バサバサと布団の音が続く。
『実さん、そろそろ切って良い? 明日早いんだよ』
「……明日も電話してくれる?」
『はいはい。しますよ。こっちからかけるまでかけてこないでね。かけられても応対出来ないからね』
「分かってるわよ」
『ん。じゃあ、おやすみ。また明日の夜に』
「……おやすみ。また明日」
電話が切れる。わたしももう寝ようと準備をしていると、スマホの通知音が鳴った。空美の従妹から一枚の写真。満の寝顔の写真だ。『寝言で実さんの名前呼んでますよ』と続き、動画が届く。再生すると『実……』と満が寝言で呟いた。幸せそうな顔をしている。
『じゃ、おやすみなさい』と彼女は締めくくり、それ以降はしばらく待っても何も送られてこなかった。
やっぱりわたしは空美の従妹が苦手だ。幼馴染だからとはいえ、満との距離が近すぎる。自分にも恋人が居るくせに。満も満だ。わたしというものがありながら。二人の間に何も起き無いことくらい分かっている。分かっているけれど、ムカつく。
しかし、恋を理解出来ない満はともかく、空美の従妹はわたしの気持ちを理解出来るはずだ。分かっていて、わたしを揶揄っているのだろう。ほんと性格悪い。
……まぁ、堂々と自分はレズビアンだと言えてしまう彼女に嫉妬して、彼女の恋人に手を出そうとしたわたしが言えることでは無いのだけど。
翌々日。授業が終わるとすぐに満の家に向かった。一刻も早く、彼女に会いたかったから。家に着くと、ちょうど彼女の母親が出てきた。
「ん。実ちゃんいらっしゃい。ちょうど良かった。誰も居なくなるから留守番よろしく」
「お買い物ですか?」
「うん。どうせ今日泊まっていくだろ?」
「……はい」
読まれていた。恥ずかしい。
「満ももう帰ってくると思うから。じゃ、よろしくねー」
そう言って、満のお母様は自転車に乗って行ってしまった。本当に、マイペースなところが満にそっくりだなと苦笑いしながら玄関の扉を開ける。
「わんっ!」
家に入ると、つきみが飛びついてきた。驚いて悲鳴をあげてしまうと、彼女はわたしの顔を見上げて、首を傾げた。『あれ?満じゃない……』とでも言いたげな顔だ。
「……悪かったわね満じゃなくて」
わたしがそう言うと、彼女はあからさまに申し訳なさそうに目を逸らしたが、別に怒っていないことを分からせるために撫でてやると、すぐに腹を見せた。ほんとに、素直で可愛い。そしてもふもふで気持ち良い。しばらく玄関で彼女を撫でていると、扉が開いた。その瞬間、彼女はハッとして扉の方に行ってしまう。
「おー。つきみ、久しぶり。良い子にしてた? お前にもお土産買ってきてやったぞー……って、うおっ。びっくりした」
「……お帰り。満」
「……」
彼女はつきみを片手で抱いたまま、無言で私の頭を撫でてきた。
「な、何よ」
「寂しい思いさせてごめんね。実」
「……貴女、わたしのことペットだと思ってるでしょ」
「猫じゃん。色んな意味で」
「うるさい」
「てか、なんで玄関で待ち構えてんだよ。せめて部屋に居ろよ。そんなに私に会いたかったわけ?」
「ち、違うわよ! 今さっき来たの! そしたらつきみが飛びついてきたから……ちょっと、戯れてただけよ」
「……まぁ、そういうことにしておいてやるよ。母さんは?」
「お買い物」
「りょ。んじゃ、荷物置いたら部屋行くから、部屋で待ってて」
そう言って彼女はつきみを連れて行ってしまった。大人しく彼女の部屋へ向かう。彼女の部屋に入るのは久しぶりだ。なんだか少しドキドキしてしまう。
階段を上がる足音が近づいてきた。扉が開く。ラッピングされた袋を持った満が入ってきた。
「ほれ。お土産」
中身はストラップ。同じ物を見せて「私とお揃い」と彼女は笑う。その笑顔を見ただけで、わたしの心はうるさいくらいはしゃぐ。そのドキドキを彼女にも移してやりたくて、彼女に抱きつく。けれど、わたしのドキドキが彼女に移ることはない。悔しくて頭突きをすると、彼女はくすくすと笑いながら「猫の頭突きって愛情表現らしいですよ」と言いながらわたしの頭を撫でた。本物の猫を愛でるような手つきで。「わたしは猫じゃない」そう言ってもう一度頭突きすると「ほら。猫じゃん」と彼女は笑う。
「……うるさい。年下のくせに生意気」
「一個しか変わらないじゃん」
だけど、こうやって揶揄われるのもなんだかんだで嫌いではない。
ふと、わたしの頭を撫でていた彼女の手が止まる。こつんと、彼女の頭がわたしの頭にぶつかってきた。寝息が聞こえてくる。
彼女の腕から抜け出して、クッションを置いてそこに彼女を倒す。
あどけない寝顔、丸まった小さな手、長いまつ毛。美少女という言葉がよく似合う。なのに中身はおっさんみたいで、可愛さなんてカケラしかない。そのギャップにショックを受ける人は多い。逆にそのギャップがたまらないという人も居るけれど。わたしもどちらかといえば前者だと言いたいところだが、後者だ。彼女の可愛さとカッコ良さのギャップに、どうしようもなく心をかき乱されてしまう。だけど彼女の心は一切乱れない。それが悔しくて仕方ない。
「……実……」
ぽつりと、彼女がわたしの名前を呟いた。そして、目を閉じたまま笑う。わたしじゃなくて良いとか言うくせに、こういうところが本当にずるい。
「……風邪ひくわよ」
ベッドの上の毛布を彼女にかけ、枕を敷いて隣に並ぶ。正面から見る寝顔はたまらなく可愛い。
手を伸ばし、頬にかかった髪を退かし、頬を突く。餅みたいに弾力があって気持ちいい。
艶のあるピンク色の唇に、誘われるように顔を近づける。そこに自身の唇を重ねる。離れると、目が合った。
「!」
思わず飛び退き、彼女の身体にかかっている毛布を顔に被せる。
「ちょ、な、なんだよ……!」
「なんで起きてるのよ! 大人しく寝てなさいよ!」
「いや、そんなこと言われても……」
「てか、少しは照れなさいよ! なんでそんな平然としてるのよ!」
ベッドの上の枕を投げつける。彼女はそれを受け止めると立ち上がり、わたしをベッドに押し倒して唇を奪った。
「ちょ……んっ……」
押し返そうとするが、相変わらずこの馬鹿力には勝てない。抵抗も虚しく、彼女の指に絡め取られてベッドに押し付けられる。
彼女はそのまま、何も言わずにキスを繰り返す。唇が離れ、重なるたびに、わたしの鼓動は加速していく。
しばらく繰り返して、興奮が再骨頂に達しそうになった瞬間、下から物音が聞こえて、彼女がぴたりとキスを止めた。「ただいまー」と彼女の母の声。それを聞いて彼女は「残念。二人きりじゃなくなっちゃったね。続きはまた夜にね」と悪戯っぽく笑い、わたしの上から退いて部屋を出て行ってしまった。
「……ずるい」
思わず呟く。ずるい。ドキドキしないなんてずるい。ムカつく。ムカつくのに、好きで好きでたまらない。幸せでたまらない。わたしはきっと、この矛盾した感情にこの先も一生振り回されるのだろう。
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