第2話 残り17時間。





「明日の婚約破棄を中止するぞ」

「こんな夜更けに何の冗談でしょうか?」


 夜中に城を飛び出した俺は、王都にあるとある貴族の家を訪ねた。

 メガネをかけたこの貴族は俺の婚約破棄の賛同者であり、計画の片棒を担いでいる。


「冗談じゃねぇ。本気だ」

「王子はエリシア・フローラがお嫌いなのでしょう?だから彼女の実家にスパイを送り込んでありもしない不正の証拠をフローラ公爵家に隠したのですよね」


 そうだ。

 あまりにも一方的でに俺が嫌いだから婚約破棄ね〜だと周囲からもブーイングがあると思ったので、俺は複数の協力者に頼ったのだ。

 エリシアやその実家であるフローラ公爵家を貶めて婚約破棄を自然なものにするために。

 だが、それもお終いだ。


「それについてだが、貴様の用意した不正の証拠とやらはよく出来すぎていないか?」

「王子のために完璧なものを用意しましたので」

「そうか。いや、……まるで本物の不正書類の名前だけ書き直したような代物だったのでな?」

「そ、それは……」


 俺の言葉を聞いた途端に、目の前の男の視線が泳ぐ。

 やっぱりコイツは黒だった。


 婚約破棄に協力してくれお礼に、俺は未来でコイツを大臣にまで出世させてやった。

 だが、実はコイツは不正大好き野郎で脱税やら禁止された薬物の横流し、奴隷売買まで手を出すクズ野郎だったのだ。

 そんな奴を側近にして、自由にさせていたのも俺が処刑される原因の一つ。


「俺の未来に貴様は邪魔だ。騎士団よ入れ!」

「「「はっ!!」」」


 俺の一言で鎧を着た騎士達がゾロゾロと部屋に雪崩れ込む。

 夜中であれ、騎士団は王子の一声で自由に動かせるので助かった。


「う、裏切るのですか!?」

「黙れ!国に対して不正を働き、あろうことかフローラ公爵家を貶めようとした罪人め!騎士達よ、この犯罪者を連れていけ」

「「「はっ!」」」


 こうして、この屋敷の貴族は逮捕されるのだった。

 調べたらこの時代でも沢山汚職していたみたいで言い逃れは出来なかった。

 俺も共犯だと訴えていたそうたが、俺は怪しい奴を調べる為の潜入捜査をしていたと知らんぷりした。


 さて、次。



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