セッション進行における予測イメージとモチベーションのBeforeAfter

@chiriyam_jun

セッション進行における予測イメージとモチベーションのBeforeAfter

TRPGのプレイヤーにはいろんなスタイルがある。

探索を効率よくこなしたいゲームプレイヤー。

戦闘を楽しみたいバトルジャンキー。

キャラクターに感情移入をするロールプレイヤー。

プレイヤーにスタイルがあれば、おのずとシナリオにも似たような傾向が出てくる。

ゲームプレイヤーを楽しませるための謎解きシナリオ。

バトルジャンキーを興奮させる戦闘卓。

そして、ロールプレイヤーを感動させることに特化した「うちよそ」。

今回は僕が経験したうちよそシナリオの「好感度システム」の話をしたいと思う。


ーーー


その日僕はとある田舎の村に知人と訪れていた。

 (セッションの中の話です)

小高い丘に上がると美しい桜並木が並んでおり、桜の木の下には今にも消えてしまいそうな美しい少年がたたずんでいた。

 (PCがNPCと出会いました)

ふと美少年がこちらに気づいたのか僕らに話しかけてきた。その様子があまりにも幻想的だったので、僕はこれが夢なのではないかと思い、彼の様子をうかがった。

 (NPCが怪しかったので心理学を振りました)

彼は確かにそこに存在しており、僕は彼が幻ではないと確信した。

 (KPから怪しいところは何もないといわれました)

僕らは彼と親しくなり村で一緒に行動することになったのだが、彼は何の運命なのかその命をはかなく散らしてしまった。

僕たちは彼が失われてしまったことを受け入れることができず、悲嘆にくれることしかできなかった。

 (セッションが進んでNPCはロスト、PCもSAN値をがりがり削られてバッドエンドを迎えました)


ーーー


セッションを終えて一体どこで選択を間違えたのかをKPに尋ねてみた。

するとKPは

「最初にNPCに心理学を振ってしまったから、NPCの好感度が下がっちゃったんですね。それで必要なイベントが発生しなくなりバッドエンドを迎えてしまいました」

と言う。

好感度というといわゆるギャルゲーなどで良く用いられるシステムでありなじみ深いものでもあるが、CoCでこの言葉を聞くのは初めてであった。


ところで僕はロールプレイが大好きなロールプレイヤーである。

そんな僕が好むシチュエーションは最初はギスギスしている二人がイベントを通して理解を深め、次第に絆が生まれ協力しながら冒険をしていき、最後はお互い譲れない思いを胸にぶつかり合うというものだ。

最初から「お前、おもしれーじゃん」とか言いながら好意的に近づいてくる輩は、僕のお財布か内臓を狙っているとしか思えないし、少女漫画か乙女ゲーの中でしか拝見したことがない。

そういうわけなので、僕としてはこのシナリオを参加すると決めた時点で詰んでしまっていたことになる。


いわゆる「うちの子とよその子を絡ませてエモい関係をよろしくどーぞ」略して「うちよそ」のシナリオはギミックでNPCとの絡みを強いることが多い。

この場合そのギミックの一つが好感度システムであったということなのだろう。

だが、謎解きシナリオで謎が解けなければクリアできないのと同様に、好感度システムに反するPCはバッドエンドを迎える。


シナリオ制作者が思い描くシナリオスタイルとプレイヤーのプレイスタイルは、合致すればこれ以上ない感動があるだろうが、ミスマッチしてしまうと悲劇を生んでしまいがちである。

今回、僕もシナリオもロールプレイを大事にするという意味では同じ方向を向いていたが、同ジャンルの別カプ抗争のようなすれ違いが起きてしまった。


残念な事件だった。僕はきのこの山が好きである。









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