先生

「先生はさ、ずっと先生になりたかったの?」


「いいえ、そんなことはありませんよ」


「そうなの?いつから先生になりたかったの?」


「そうですね、高二の時ですかね。とある先生に憧れて、現実味もあったしいい目標かなって」


「それまで夢とかなかったの?」


「ありましたよ。書く側になりたかったんです、小説家に。」


「おおーなんか似合う!でもやめちゃったんだ?」


「いや、やめたわけではないですね」


「どういうこと?」


「先生になりました。大学を出て、教員免許を取って」


「うん」


「だから小説家になれませんでした」


「やっぱりやめてるよね?」


「でも書く側にはなれました」


「んー?」


「先生になってもお話を書く場所は沢山あります。狭くて広い世界ですから」


「小説家でなくても書く側になれて、私の話を誰かが読んでくれるのです」


「でも、夢は叶わなかったんだよね?」


「なりたいものになれるならいいんです。夢なんて大袈裟な言い方したくても、ね。」

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