誕生日。

七月二十二日。


今日は私の誕生日。


いつもなら祝ってもらえないけど、今年は運良く夏休みの始まりがずれて今日が終業式だから、会える。


「先生バイバーイ」


「こら、ちゃんとさようならって言いなさい」


「えぇー、さよーならー」


「はい、さようなら。熱中症には気ぃつけて」


明日から夏休み。


夏休みが明けたら私は、転校することになっている。


だから、今日しかない。


みんながいそいそと帰っていくのを見送る。


そして誰もいなくなったのを確認した。


「あの、先生」


「ん、どした?忘れ物か?」


「いえ、あの、」


言わなきゃ。今日言わなきゃ、きっと後悔する。


「ははっ、ゆっくりでいいぞ」


背の高い先生は聞きやすいように少し屈んでくれる。


「今日誕生日なので、祝ってください!」


間違えた。


目が点になるってこんな感じなのかな、先生はびっくりしてる。


間違えた恥ずかしさか暑さか、バグった脳の指示に従った体はそのまま先生のネクタイを引っ張って、そして唇を、

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