僕だけもらう第二のギフト〜ありふれたギフトですが、第一のギフトとシナジーを発揮して最強になりました。え?最弱のレッテルですか?知りませんねぇそんな子は〜

マグロ

第1話 グレンという男

『エネルギー操作』


 これが僕が15歳の誕生日に与えられたギフトだった。


 ◇


「まったく最強のギフトと言うから誘ったものの全然使えねえじゃねえか!」

「そうよそうよ!これじゃあ逆に赤字だわ!」


 ここは、魔道都市イニジャートの町外れにあるダンジョンの入り口。この街で僕は駆け出し冒険者のお手伝いをやっている。

 お手伝いと言えば聞こえは良いが、彼たちの言動を聞いてわかる通り僕はとてもじゃないが実力者とは言えない。

 数年この街で冒険者をやっているから知識はあるものの、戦闘能力では駆け出しの冒険者には劣ってしまう。

 それでも僕が何とかこうして依頼されるのも僕のギフトの物珍しさからだろう。もっとも『最強のギフト』と名高いギフトを持つ僕は、とても最強と言えたものではないのだが。


「僕の取り分はナシでいいよ。迷惑もかけたし」

「マジか!?そりゃあありがたい」


 こんなやり取りも慣れたもので、と言うか毎回僕はこんな感じでクエストの報酬をもらうことはない。僕にヘルプを頼むその依頼料で食うには困らないからだ。少しばかり癪に障ることもなくはないが、彼らの表情の変わりようが面白いのでそれで満足することにしている。


「ねえねえ、早く宿に行きましょうよ。こんな辛気臭いとこにいると気が滅入っちゃううわ」

「それもそうだな。じゃあグレンさんよ、ありがとな」


 街へと帰る二人を見送り、僕はいそいそと再び洞窟に潜る準備を始める。きっと彼らはキャッキャウフフな事をするのだろうと考えると、これまた癪に障るが、必死にその気持ちを押し殺す。


 ただ怒るだけでは、自分の現状を嘆くだけでは何の成長にもならない。勿論、これで帰っても生きてはいける。しかし、それでは僕は一生そのままだ。18歳という僕の年齢は夢を諦めるにはまだ早すぎる。


「では、行きますか」


 装いそのまま、気持ちを新たにして僕は再び洞窟に潜るのだった。

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