まいどおさわがせします
@wizard-T
ピクニックにいってきたよ
わたし、宇宙ってかいてそら。4さい。きょうはパパとママといっしょになつのおやまにやってきたの。
「いやー、星が綺麗だよなー。宇宙、思いっきり見ろ。星はいいぞー」
よる、おそらにはほしがいっぱいいっぱいかがやいていた。わたしのおうちからはぜんぜんみえないおほしさまなのに、どうしてここではこんなにいっぱいかがやいているんだろう。
「都会だと夜でも明るいだろ?それで昼間に星は見えないだろ?星だって本当は昼間でも輝いているんだ。でも昼間のお日様にはまったくかなわないし、都会に夜輝く明かりでも苦戦するけど、今ここでは相手がいないからさ。でもね、星はいつだって輝いて、自分が輝く時を待っているんだ」
わたしにはむずかしいことはよくわかんないけど、つまりひるまはおひさまがものすごくがんばっていて、わたしたちがいつもいるとかいってとこのよるはでんきががんばっているからおほしさまはめだてないってことみたい。
「いいか、あのお星様みたいにどんなに苦しい事があっても、最後には光り輝けるように頑張るんだ」
パパはそういいながらわたしをだきあげてくれた。ちょっとだけおほしさまがちかくになったかんじで、おほしさまがますますきれいにみえてきた。いいなあ、ねえママもおいでよ、もっといっしょにみようよ。
「うん…………」
ママ……どうしたの?なんかずいぶんとつかれてるみたいだけど、どうしたの?
「うん、疲れちゃったの、ゆっくりさせて…」
「何だよまだ午後八時だぞ、あと一時間ぐらい星を眺めていても罰は当たらんと思うんだけどな」
「ったく、こんな時に限ってもう……」
ママはなんかのりきじゃないみたい。なんかわたしがもっとみようよっていってもだめなかんじ。なんでなんだろう、そりゃわたしだってときどきいやだなーっておもうこともあるけど、それがママにとってはいまなのかなあ。でもさあ、こんなにきれいなおほしさまなのに、どうして?
「だって、いつもいつもママはあなたのお料理やお洗濯やらで疲れてるの。その上にこんな所まで来てなお…」
ええーママ……
「あっごめんね、こんなとこまで来て宇宙を不愉快にさせちゃダメだよね、でもね、明日の為にも私はゆっくりしたいの、ね…………」
わたしわかる、ママのめはあんまりつかれてなさそうだって。ほんとうに、ほんとうにほしをみたくないだけってかんじ。
ほしをみたくないから、つかれてるってことにしてるんだって。わたしにおりょうりとかおせんたくとかおそうじとか、そういうのがどれだけたいへんなものかはわからないけど、きょうのママはそんなことぜんぜんしてない。
だって、きょうわたしとパパとママはくるまにのって2じかんいじょうかけてこのおやまにやってきたんだけど、そのあいだずっとくるまをうごかしていたのはパパで、ママはうしろでわたしといっしょにねてただけ。そしておやまにきてからも、テントをはったりバーベキューをやいたりしていたのはパパばっかりで、ママはざいりょうをはこんでたぐらい。これでつかれることなんかできるの?
「大人になるとね、疲れは一日じゃ抜けなくなっちゃうの……宇宙はまだ子供だから、あっまた星を見に行くの?じゃあ行ってらっしゃい」
わたしはもうママのいうことをきいていたくなくなった。わがままいうんじゃないってママはよくわたしにいうけど、これじゃママのほうがわがままだよ。でもさ、ママもむかしはわたしとおなじおんなのこだったんだよね。だからたまにはいいのかもしれない……ってこれはぜんぶパパがいってたことだけど。
「パパだって昔は子供だったんだ。たまにはわがままを言いたくなる時だってある。だからさ、ママのわがままを許してやってくれないかな。パパだってずいぶんとわがままを言っちゃったんだしな」
パパがいうには、ママはほんとうはうみにいきたかったんだって。でもそれがパパはちょっとむりやりにおやまにきめちゃったんで、むくれてるんじゃないかって。わたしきめた、かえったらママのことだいじにしてあげるって……でもいまは、おほしさまをもうちょっとみていたいかなーっておもって……ね、だから、かえったら……ね?
それできがついたときにはもう9じになってて、さすがにねむいしトイレにもいきたくなっちゃった。パパにそういったら、わたしをトイレにつれていってくれた。ちょっとくらかったけど、パパがいっしょならこわくなんかない。
「おやすみ宇宙、パパはもうちょっと星を見ているからね」
パパのめはきらきらしてる。ほしをみられるのがたのしみでしかたないってかんじ。ねむくなければわたしももうちょっとほしをみたいんだけどな……。
って、きゃっ、なに!?テントのむこうがあかるくひかってる!
もうよるのはずなのに……あっそういえばあそこ、パパがほしをみにいったところだよね!だいじょうぶかな、ねえママ!
……ああもうママ、かんぜんにぐっすりねちゃってる…だいじょうぶかなあ、パパ……
「どうしたんだ宇宙、目が覚めちゃったのか?」
あっパパ、だいじょうぶ!?
「大丈夫。怖くなかったか?さあ、お休み……」
パパはなにごともないようにかえってきた。だいじょうぶだよね、パパはつよくてかっこいいんだもん。わたしはほっとしながらめをつむった。
おやまからかえってきてからふつかご、ようちえんからかえってきたわたしはいつものようにほんをよんでる。
「名は体を表すって言うけどね……」
わたしにはママがいってることのいみはわかんない。でもわたしがこのまえのたんじょうびのときにかってもらったほしのほんをみているとママはいつもそういう。
「私はねえ、いや何でもないけど……」
それでママはそういうのといっしょにいやそうなかおをする。どうして?もしかしてママ、いっしょにあそんでもらいたいの?ママはさびしがりやさんだね。で、なにをしてあそぶの?
「いやそうじゃないから、ねえ……宇宙はずっと本を見ていていいのよ」
ママってへんだね。わたしがほんをみているのがいやだっていうのならほかになにをすればいいの?どうしてなにもいわないの?ねえおしえて。どうしてなの?ねえ。
「うるさいわね、わかったわよ鬼ごっこでもしてあげるから!」
わたし、そんなわるいこといっちゃった?それなのにママはものすごくおこってるみたい。それでママおこってるのっていったらおこってないわよって、ほんとうおとなってよくわかんない。
それで1じかんぐらいママとおにごっこしていたらチャイムがなった。
「ただいまー」
あっパパだ、おかえりなさい。
「宇宙はいつも元気そうでいいな、ママは元気かい?」
わたしはげんきだよ、でもママはあんまりげんきじゃない。どうしたのかなあ。
「そうか、じゃあパパはママの所へ行って来る。宇宙はいい子にしてなよ。パパとママが落ち着いて話ができないと困るから」
パパはいつもわかりやすくいってくれるからだいすき、それでどうしてママはすなおにじぶんのきもちをいわないんだろう。
わたしもママとおなじおんななんだけど、おんなってそんなものなのかなあ。
むずかしいことはよくわかんないけど、わたしはとりあえずパパのいうとおりいいこにしてることにした、というわけでパパがかえってくるまでよんでいたほしのほんをまたよむ。
「習い事って言ったってなあ……何をやらせればいいって言うんだ?」
「そりゃあねえ、とりあえずこの辺りから」
ならいごと?ようちえんとはちがうの?ってうわなにこの、ドサンっていうすごいおと……?
「おいおい、こんなにたくさんの資料一体どこから集めて来たんだ…?」
「あっちこっちから。さすがに4歳の宇宙に一人で遠出をさせるのは無理だから30分以内の圏内のを探して来たけれど、でこっちは念のために1時間以内の圏内のを」
「すごい量だな、と言うか書道とか三つもあるぞ、ダブってる奴は除いてもいいんじゃないのか?」
「だーめ、その中で一番いいのを探すんだから。その為にわざわざ全部取って来てあなたの意見を聞くつもりだったんだから。それにこんな資料もらって来た所で1円もかかりゃしないのよ。ただでチャンスが広がるんならばこんなに嬉しい事はないじゃない」
「そりゃまあそうだろうけどな。あのさあ、まず聞きたいんだけど」
「もう早くしてよ、何を聞きたいの?」
「何をってそりゃ、お前は宇宙に何をさせたいんだよ、と言うか宇宙にどんな子になって欲しいんだよ」
「どんな子ってそれは、立派な子よ」
「だからさ、どういう風に立派な子になって欲しいんだよ」
パパとママがなんかおおごえでいいあらそってる。いやどっちかっていうとママのこえのほうがおおきくてパパはなんかうんうんいってるだけってかんじ。
「じゃああなたは宇宙にどういう子に育って欲しい訳よ」
「そりゃなあ、大きく視野を持つ事が出来て、かつ相手の気持ちを理解できる子に育ってくれれば後は特段何も……」
「………それでどうするべきだって言うのよ、何をやらせるべきだって言うのよ」
「とりあえずはまだ必要ないと思うな、今は同い年の子どもたちと目一杯遊ばせて」
「見もしないのに必要ないだなんて、あんたやる気あるの!」
「慌てすぎは厳禁だぞ、まあとりあえず確認はしてみるよ」
ママのこえがこわくて、わたしはおもわずみみをふさいじゃった。パパはあんなにやさしいのに、どうしたママはあんなにこわいこえをあげてるんだろう。
そしてそれからパパとママのおはなしがおわったのは1じかんぐらいあと。いったいなにをはなしているのかわたしはわかんない、だってわたしそのあとずっとみみをふさいでドアをしめきってじっとほんをよんでいたから。ほんとうならばそとにでてほしをみたかったけど、きょうはそんなきもちになんかなれない。
「宇宙には関係ないの、早くおやすみなさい」
ママになにがあったのってきいてもそんなありさま。どうしてなの、どうしておしえてくれないの?っていうか、ならいごとってなに?
「気にしなくていいの、ったくパパったらもう……」
ママはおこりっぱなし。なにがいけないの、ねえママ……あっパパ、どうしたの?
「宇宙、構ってやれなくてごめんな。パパちょっとママとお話ししてたんで」
わたしはやっぱりパパがすき。だってかっこいんだもん。とくにきょうのパパはいちだんとかっこよく、っていうかおっきくなってるきがする。
「そう、かなあ……まあ宇宙の方がおっきくなってると思うぞ、いやー子どもが大きくなるのってわかっちゃいるけど早いよなー」
パパはわらいながらそういってくれた。こんなにかっこいいパパなのに、ママはなにがきにいらないんだろ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます