第45話「俺の青春に友達は」
「何で転校していないのよ!」
冬休みも終わり、学校に行くと俺の顔を見て喜怒哀楽全ての感情を顔に出した黒川に部室まで連行されて開口一番に言われたセリフがこれだった。
「……いや、あの後なんやかんやで俺だけこっちに残ることになった」
そう結局、俺は転校しなかった。
一度は引っ越し先まで行ったのだがその後、再び面倒な手続きを終えて年越しの間に俺だけこっちに帰って来たのだ。
「そんなの……よく親御さんを説得したわよね。もう、転校は決まっていたんでしょう?」
「いや、まぁ……話したら意外となんとかなったって言うか……」
正直、俺もこれはダメもとだった。だって、俺が引っ越すのは親の仕事の都合だし、既に転校先の手続きも住んでいると思っていたから。
だけど、俺が転校したくない旨を伝えると……
親父曰く『いいんじゃね?』
そして、母さんは『パパは一人にしておくと、またすぐに新しい女が出てくるから、ママは絶対にパパから離れないわ!』
――ということで、何故かあっさりと一人暮らしが決定してしまったのだ。
マジでウチの親頭おかしすぎだろ……。
「……なんか、ユニークなご両親ね」
「ああ、まったくな……」
でも、引っ越しと転校が年越しだったおかげで手続きが途中だったのはいろいろ助かったけどな。そのおかげで、あっさりと転校とか中止にできて良かった。
「でも、どうしてそんな無茶をしたのよ……」
「そんなの……」
「何よ?」
黒川に俺はその理由を口にした。
「だって、友達にお願いされたからな……」
「んなっ!?」
それを聞くと、黒川の顔が突然赤くなった。
どうやら、あの日の出来事を思い出してしまったらしい。
まったく、俺の友達って可愛すぎるだろ。
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