第12話「妹」
「紹介するわ。この子は私の妹よ」
「妹の
そう言われて紹介された黒川の妹は、彼女とは正反対にいかにも陽キャな女の子で、黒川が長い黒髪が印象的なのに対し、彼女はショートボブヘアーが似合う明るい印象の女の子だ。
「それで、彼は私のクラスメイトで同じ部活の……えーと、同じ部活の……」
すると、黒川は俺の名前を紹介しようとしてその表情を曇らせた。
「……お姉ちゃん?」
「……黒川?」
ちょっと、黒川さん? もしかして、名前を忘れたとか言わない……よね?
「えーと、ごめんなさい……。安藤くん、貴方の『苗字』って何だったかしら?」
「いや、思いっきり言っているから!?」
突如現れた謎の女(黒川の妹)に即通報されそうになった俺だったが、その後すぐに黒川が戻ってきてくれたため、今はこうして自己紹介をしている最中だ。
「もぉ~っ! お姉ちゃんが帰って来たのかと思って部屋に突撃したら、知らない男の人がいるんだもん! あたし、ビックリしちゃったよ~♪」
「その割には、無言でスマホ取り出して即座に通報しようとしてたけどな……」
あれ、マジでビビったからね? クラスメイトの女子の家に呼ばれて行ったら、知らない女の子が出てきて即通報とか、新手の美人局かよ。
「だけど、お姉ちゃんが部屋に呼ぶような男の人がいたなんて、あたし知らなかったなぁ~?」
「え、いや……違う! お、俺は……」
ヤバイ! 俺はただ猫を触らせてもらおうとしてただけなのに、これでは余計な誤解が――
「お姉ちゃん、正直に言って! 一体、友達料いくら渡してるの!」
「「友達料!?」」
え、なんか……予想以上にひどい誤解されてない……?
「いや、別にお金とか貰ってないけど……」
「嘘言わないでください! お姉ちゃんがお金も渡さずに友達を家に呼べるわけないじゃないですか!?」
この妹、自分の姉に対して酷い言い様だな……。
「おい、黒川……」
「ちょっと、灯!」
ほら、お姉ちゃんもお怒りに――
「友達料って何!? 一体いくら払えばいいのかしら!?」
――って、そっちかぁああああああああああああい!?
「てか、友達じゃないし……」
「じゃあ、友達じゃなかったら何ですか?」
「え……」
「何で『友達』でもない人がお姉ちゃんの部屋にいるんですか?」
「そ、それは……」
ヤバイ。つい、条件反射で否定してしまったけど……これ、なんて説明すればいいんだ?
ちょ、黒川さん! 見てないで助けて――、
「な、何なのかしら? 教えて欲しいわね……?」
いや、お前までそっち側になるのかよ!?
「え、えっと……」
俺と黒川の関係……
「「じぃー……」」
それは、きっと――
「た、ただのクラスメイトだよ……」
うん、それ以上でも以下でもない……よな?
「安藤くんのヘタレ……」
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【今回の作業アーカイブ】
https://www.youtube.com/watch?v=orz1TVSKRuY&list=PLKAk6rC5z4mR39sRFDtVHqVqlPwt0WcHB&index=11
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