その133 チビだろうと子供は可愛い
かっこよすぎるのでもはや従うしかなかった。
お兄様消防隊にレスキューされるように背負われた私はどうやら本当に疲労が溜まっていたようで、お兄様の細く見えて分厚い背中に安心したのか、すぐさま眠くなっていく。
話に聞くところによると本日の私は、朝からランニングしてナナっさんと話して戻ってジェーンとローザと話してまた移動してヘンリーと話してその後グレンを見つけ出して話す──のではなく何故かタイマンを張ってグレンを吹き飛ばして約束してたお兄様の元まで急ぎ、お兄様とそのまま夢の世界へ移動してニムエさんと話して逃げられたので地獄に変えて(!?)バトルして普通に勝ってそうしてようやく記憶が戻ってきた……らしい。
そりゃあ疲れもするよ私! 陰キャにできる一日の行動量じゃないもん!
よく見たら一日二回戦ってるし! タイマンは一日一回までが限界だって!
もしかすると記憶を失った私は結構アクティブな陽キャだったのかもしれない。
いや、アクティブな私って想像出来なさすぎて逆に興味が湧くわ。
み、見たい! 陽キャな私!
ますます1ヶ月後が楽しみになってしまった。
★
またまた気がつけば私はベッドの上にいた。
周囲は暗く、隣のベッドにはジェーンが安からに眠っていて、夜も深い頃合いであることが窺える。
どうやらお兄様の背中の上で私はぐっすりと眠ってしまっていたようだ。
最近、寝過ぎているな私……。
「ぐっすりだったわね〜」
「ひょいっ!?」
寝起きのはっきりとしていない頭で、ぼんやりと周囲を見渡していると、横から急に声がかかった。
幼く、高く、そしておっとりとしたその声は、幼児を思わせるのだけど、しかし、この話し方に私はめちゃくちゃ聞き覚えがある。
あるのだけど……あの人はバリバリにグラマラスな美女だったはずなのだけど。
恐る恐る、ゆっくりと声の方へ視線を向けるてみればそこには……やはりニムエさんっぽい人がいた。
そう、あくまでぽい人である。
なぜならその姿は想像した通りのまるっきり幼い姿だったからだ。
真っ白な服は夢の中で見たままなのだけど、丈が短いせいか地面を擦っているし、袖もぶかぶかでとんでもない萌え袖になっている。
要するに可愛すぎた。
私、あの、ショタコンの気もあるんだけど、なんとロリコンの気もあるのです!
要するに美しく可愛いく萌えるものはなんでも好きなんだけど、いやいやいやそうじゃなくて、な、なにこのきゃんわうぃーのはー!
夢みたいな光景に私は興奮を隠せない!
「あっ、分かった! まだ夢の中にいるんですね私! なるほど今回は夢オチでオチをつけようということですか」
「夢じゃないわよ〜。紛れもない現実で〜、ここはラウラちゃんの自室〜、そして私は湖の少女ニムエちゃんよ〜」
「ご本人ですか!? 娘とかじゃなく!」
「未婚よ〜」
未婚では仕方ない!
驚くべきことに、どうやら目の前の子供はニムエさんその人らしい。
な、なぜ幼女になってしまわれたのか。
自室に幼女がいるシチュエーション、憧れるものがあるけれども!
「に、ニムエさん、縮みましたね……あの、もしや私が世界を地獄に変えたせいで、修復に力を使いすぎてーとか、そんな感じですか?」
オタクなのでロリ化についての知識は豊富だが、基本的に力を失って子供になっているパターンが大半である。
そして今、ニムエさんが力を失う理由といえば、真っ先に思い浮かぶのはこの私、ラウラ・メーリアンなわけで……。
「大丈夫よ〜」
「別に理由ですか! よかったです!」
「うんうん〜、ラウラちゃんのせいなのは半分くらいだからね〜」
「結構私が悪いじゃないですかー!!!!!!!」
半分行ってたらもはやそれは主犯であり元凶である。
ど、どうしよう! 水につけてたら元に戻ったりしないかなぁ!?
もしくは魔力をめっちゃ注入するとか!
「残り半分はこの世界に来たせいなの〜、無理して出てきちゃったから〜、ほら〜、狭い入り口を抜けようとしてちっちゃくなった的な〜?」
パタパタと手を動かしつつ説明するニムエさんの袖は、ひらひらと舞うようにはためいて、もうどちゃくそ可愛い。
もー! 子供は可愛すぎてダメなんですって!
私もほぼ子供みたいな身長ですけどもー!
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