無個性で才能無き者のリワード獲得がために奏でられる序曲
ウゴカッタン
求む! 7000字の短編小説を毎日十篇、書き続ける胆力!
カクヨムリワードをご存じだろうか?
カクヨムロイヤルティプログラムによって計算された、各作品の広告表示PV数から算出されたアドスコアを元に、カクヨム作家に還元される利益の事である。
で、である。
実際、どれくらい書き続ければリワードを獲得して収入を得れるのであろうか?
自分が獲得したリワードの簡単な算出方法によると、
アドスコア20ポイントがリワード1ポイント相当、すなわち1円である。
ではアドスコアはどうやって得るのか?
まずカクヨムロイヤルティプログラムに参加することが何より必要な事であり、これに参加した時点で、執筆した全ての作品に広告が表示されるようになる。
それ以降広告表示PVとしてPVが計算されるようになるが、この広告表示PVが結構手ごわい、要するにPV数が多いほど良いのだが、それと同時にカクヨムではある程度の文章量が要求される、各話ごとに判定され、一話あたり既定の文章量に満たない場合、広告表示PVとしてはアドスコア換算で1に満たない数字にされることも多々ある。
既定の文章量とはどれくらいなのだろうか?
自分が書いた文章の広告表示PVで得られていたアドスコアはPVあたり4アドスコア、この時の文章量は5万6000字となる。
このことから文章量がただ多ければアドスコアが大きくなるという計算方式で無いことが明らかとなっているのと、上限としては広告表示PV一つにつきアドスコア4までという具合なのだろう。
既定の文章量として自分が考えているのは、恐らく5000字くらいで広告表示PVは読者がひとりつくごとにアドスコア4は貰えるのではないかという具合で、実際、他のカクヨム作家さんが算出した計算式でもそのくらいとなるが、とりあえず安全パイをうつとして、7000字程度あれば広告表示PVはその短編一話につきアドスコア4になるという具合であろう。
さて既定の文章量と広告表示PVの関係性と、アドスコアとリワード確定までにはなかなかの難しさがあると考えれたと思う。
で、具体伴った話をしよう。
”何字書けばリワードを換金してもらえるの?”
である。
方法としてはネット上でバズるか炎上でもすればPV数は稼げて、仮に七千字の作品が一つあれば1万五千広告表示PVが集まれば、アドスコア換算で1PVあたり4アドスコアで15000PV×4アドスコアで60000アドスコア、1リワードは20アドスコアなので、60000アドスコア/20=3000リワードである。
つまり広告表示PVを既定の文字数に到達した小説の一話に集中させて、15000人の人に読んでもらえればカクヨムロイヤルティプログラムで収入を得ることが可能である。
だが、バズったり炎上したりというのはその時の勢い以外何もないモノで過ぎ去った後には枯草も残らず、再現性があるかといわれると、難しいものだと考えられる。
このため堅実に執筆しつづけて成果を上げるにはどうすればいいのかという話になるだろう。
また、この15000PVというものも一年の間に得なければ、リワードには賞味期限が存在しており、一年の間にリワードを換金しなければ、一年前に確定したリワードは無くなってしまうカクヨムとの契約である。
(※リワードの確定は大体その月の二か月後で、月一回くらいのペースでなされる)
この契約に基づくと、15000人の目に留まるために何作品描いて、何文字書いて、何人の人に評価されれば良いのか、とても悩ましいものになるだろう。
さて必要な文字数と話数を想定するにあたっての話に移そう、
まず何のコネもなく、特定の読者もおらず、ただひたすらに文章を書きつづるだけの人間、個性も才能もない、ただタイピングソフトを使いつづけて、日記を毎日綴ることくらいが生きがいという、虚無を経験してる若者を想定とする。
これは筆者の大体20歳の時のスペックだと考えてくれればいい。
彼は取り立てた才能はない、個性もない、当然、物も知らなければ語彙も足りて無い、このため文章を綴る際にたびたび混線する。
そんな若者がカクヨムリワードを換金するまで、3000円を得るまでの軌跡とはどんなものであろうか? 一緒にシミュレーションしてみよう。
「おれの名は"才能皆無 無個性"、20歳のニートだ、取り分けた未来の展望もなくコロナ禍でそろそろ死を覚悟している、だが思い残すことがある、死ぬ前に一円でもいいから文章を書いて収入を得たいということだ」
無個性に残されたノートパソコン、早々と立ち上げてカクヨムの利用規約に目を通して、カクヨムロイヤルティプログラムの噂を知っていた彼は、日々の愚痴を呟くだけのツイッターアカウントでカクヨムに自らの薄幸の想いを叶える為晒す日々へと。さあいけ、才能皆無 無個性! お前の凡庸さとやらを世の才能ある若人ども、幾百幾万もの古戦場を戦い抜いた古強者どもに見せつけてやるのだ!
「おれのたたかいがはじまった」
さて、ここで才能皆無 無個性が頑張って書いた七千字の作品、『勇者アヒージョ・エリンギ』の冒険がどれくらいのPV数を稼いだのか発表したいと思う!
PV数! なんと5!
拍手喝采!
まあこれくらいが素人底辺作家の基礎能力である、七千字で5PVを得る、それがカクヨムの伝統芸能であり、大体、生兵法作家たちが経験している、コネがないものの末路というものだが、才能皆無 無個性はここで折れることは無い。
「つまり一作一円だろ、なんだ、あと3000作品描けば3000リワードを換金できるじゃないか、たかがこれだけの事の為に作家ってやつは揃いも揃って、いいだろう、おれが試金石になってやる、おれが3000円を得る頃にはお前らはおれの読者になってればいい、やってやるさ、ただ漫然と書くだけのことを、人間がやってやれない、わけがない」
抑揚のない声と、一点の輝きもない曇った瞳で指先を巡らせる、才能皆無 無個性の戦いは始まったばかりであるが、では少し考えてみようか?
3000作品、各7000字、文字数の総計は?
2100万字である。
2100万字である。
2100万字である!!!
この意味が分かるものはどれくらいいるだろうか?
2100万字といえば、だいたい、厚い本を100冊出版できるくらいの勢いだ。
それを、たったの、たったの一年でリワード獲得期限までに書き切るというのか?
無謀である、無知蒙昧である、井の中の蛙大海を知らずである。
そんな意味不明なことに挑みかかる若者を誰が引き止めずにいられるものか?
「待て! 才能皆無 無個性!」
「誰だ! 俺の作品に星つきレビューを書いた究極天才 超個性か!?」
「そのとおり! 姓は究極天才! 名は超個性! かくいう私こそがカクヨムでたった一作書いただけで、毎日150万PVを得て、毎日のように30万円分のリワードを得ている最強のweb作家だ!」
聞いたことは無いだろうか? 本当に実力のある作家は出版などしない、どのみち紙媒体の書籍など才能の無い凡人作家が憧れる無意味な紙束、信用の無い信用通貨に過ぎないということを、ここにいる究極天才 超個性こそが、まさに世にある信用通貨を飛び越えた安心と絶対の老後を築き上げたカクヨム最強の存在である、いままさにその、究極天才 超個性が、才能皆無 無個性のツイッターアカウントに対して、ダイレクトメッセージで攻勢をかけているのだ!
「ブロックしよう」
「まて! まつんだ!? 貴様! この絶好の機会に何故、おのれを売ろうとしない!? もしこの私におのれを売り込めば、私をフォローしている三百万のアカウントが、貴様の作品を褒め称え、あっという間にお前をカクヨム期待の新人として崇め奉るだろう! なぜそれが分からんのだ!?」
「お前は3000円を得るために2100万字を書いたことがあるか?」
「ハッハッハ! あるわけなかろうが! 私はたった一万字を書いただけで今の地位を築いた究極天才 超個性ぞ!? そんな才能皆無で無個性なことをする必要がどこにあるというのだ!」
超個性の脳内シナプスがはじける音と共にだだ洩れの思考が見える、これが覚醒した人類の読解力だ。震えろ。
考えても見ろ、この世界は一度絶対の地位を得れば永遠に絶頂である世界線、超強度なカースト制によってすべての人間は采配され、誰もがコネに乗っかって生きる蜜の味せしめる寄生虫のような連中ばかり、おこぼれあずかるために、日々、強者の顔色うかがって、自らの筆をタイピングを偉人列伝で埋め尽くすことこそが全て強者の世界を持続するための圧倒的事実ぞ! この事実を前にすべて人間は才能にひれ伏した! 才能こそが作家であり個性こそが作家の魂である! 努力など必要ない! 生まれながらの天性! それだけが己を己たらしめる重要な要素! 魂の穢れた凡才がいかに2100万字書こうが、決してたどりつくことがない境地! それこそが究極天才! 超個性!
「そう、それがお前の限界だ、究極天才 超個性」
才能皆無 無個性は、究極天才 超個性の星付きレビューを削除した。
「なんだと!?」
無個性の曇りきった眼に究極天才 超個性がうつる時、漆黒の闇があたりを覆った。
人間は愚かの極みだ、愚者をしてはじめて人という字を表すことが出来る、誰もが愚かな歴史の繰り返しの中で生きてきて今がある、つまり何の意味もなく、無尽蔵の虚無を前にして折れなかった奴が今を生きている、それに比べれば才能など人生のオマケに過ぎない、才能を誇るものは人生のオマケをあてに自慰行為にふけってるだけで本番行為を一切したことのない童貞となにも変わりはない、つまり天才に歴史などない、個性も多様性も愚者の上に初めて成立する寄生虫どもの妄言に過ぎず、人間の本性、本分は死を前にした一瞬の閃きのみにあり、どれだけ生を謳歌し、何百たび名言を名文を記そうがそこには絶対的な愚者の歩みはない、ただ心地が良いだけの讃美歌に何の意味がある? それは人間にあらず、人に非ざる文字の羅列を才能だと呼ぶのであれば、そんなもの豚に食わせてやれ、才能では決して到達することのない境地こそが愚かであることの証明だ、百度、才能を誇る前に、自分は愚者の群れによって生かされてる事実に怯え、今日一日を終えられることを神に祈るがいい、お前はもう愚者には戻れない、お前は人間を否定した。
究極天才 超個性はもうそこに留まらなかった、根本的に才能皆無 無個性は相手にしてはいけない狂人だと見知ったからである。 才能にあふれる彼は、ひっくり返したブロックの裏、虫の群れの上にコンクリートブロックを叩きつけた、つまり逆に即ブロした。
「なあ、そうだろう、カクヨム、お前が求めているのは」
”愚者たちの英雄”
愚かなりああ愚かなり、愚か者の更新は、いつまでも続き、終わることなく続き、ついに二千万字を到達しても一年の間に書ききれない、リワードは得れずただ、カクヨムに尽くすだけの愚者の列、愚かなり愚かなり、されども続く愚者の道、ぐしゃと何度もつぶされて変質してもなお続く、これぞ愚者殺界、なれどカクヨムは示さなければならぬ、愚者であっても報われると示して愚者たちの群れを維持しなければならぬ、それこそが広告表示PVで稼ぎ続ける唯一無二の方法であり、ワナビーたち愚者を制する者は全ての人類を制するも同然である、さあ文民統制シビリアンコントロールの頂きを目指せ、全ての文民を愚者にしろ、愚かなり、ああ愚かなり、愚者たちの英雄、2100万字をしてなおも答えにたどり着けず作家になれないアマチュアの、無限の戦いはいつ終わる? 永久機関を得たカクヨム、今や無限の人民を全人余さず電子の海へ、諦めなかったものだけを選別せよ、諦めたものを排除せよ、愚かなりああ愚かなり、愚か者たちの英雄よ、お前は愚かにも愚者たちの屍の上をゆく、今日も書きつづる努力の証こそが戦い死んでいった愚者たちの血と肉ぞ、全ての人民を殺して紡ぐ小説を、さあ戦争を賛美せよ、滅びに栄光あれ、全て絶対無敵の英雄を作り上げるための執政官! 偉大なる文民統制の頂き! 文明をして真っ黒に染まった文暗が下に、悪文をつづる愚者たちの英雄を奉れ、死生観など何百たびでも書き換えて、人民を一兵卒として肉弾打ち出せば、指がはじける算尺の、捕らぬ狸の皮算用、むげにした命の数を知れば、戦い続ける勇気が湧く! ファイトリバティー! ファイトリバティ! ファイトリバティー! 殲滅せよ! 才能を! 撃滅せよ! 個性を! 愚者の戦列に加われ! 愚者の更新こそが万民の礎にして母! いまぞうちだせ愚者の脳裏を! これぞ愚かなる人の、真の歴史と見つけたり!
英雄は愚かであれば愚かであるほど、蛮勇を誇れば蛮勇を誇るほど尊い、それは多くの民の死の上に成り立つからだ。 小説家の才能とは己の文でどれだけの人間から生殺与奪の権を得たかである、小説の才能とはどれだけ戦地に人間を送ったかである、ならば、無能とはなんであるか? 無能とは? 無知無能、才能皆無、無個性とは何であろうか?
「小説家ではなく愚者の英雄であり続けることだ、それが何も持たないものが得た唯一の姿であり、俺が目指す2100万字の宿願、3000篇の地獄の答え、七千字の脈絡なき弱肉強食の末路だ」
今、第一線で戦いを続けるものを英雄とたたえる君よ、君は英雄ならずとも、愚者で居続けることだろう、だが忘れるな愚者が無ければ歴史などない、才能など英雄などその場しのぎの焚火にも満たない、火打石の火花、火種にもならない、愚者が火をつけたのだ、愚者がこの明りを灯したのだ、誰もが愚かでなければ賢くある意味などない、誰もが賢ければ愚か者を探さなければ生きられぬ、愚か者が犠牲を買って出る故にこの世は続いてきた。 初めてのキノコを食べるも、雑穀を食べたのも愚者であると知れ、猿の輪から毛を抜かれた禿こそが人間だと知れ。
人間とはサルからすれば劣等である、毛のない人間とは劣っている、であるからこそ生きる意味がある。
「書くぞ、読む馬鹿の為にな」
才能皆無 無個性の戦いは続く。
さて、一つのシミュレーションが終わりを告げた、だがこれを読み終えた時君に生じたのは、俺愚か者じゃねえし! というほんの些細な気持ちかもしれない、それは大事な感性である、少なくとも才能皆無 無個性にも、究極天才 超個性にもなれない我らは、英雄にも賢者にもなる資格はないだろう、だがほんの一瞬の閃きが愚者にはある、それこそが文明の灯りだ、もう分かっているのだろう?
古のイニシエーション、しょんぼり気分の君も、何かを読むたびに奮い立たせる心がある、そいつ一つをエンジンに心に一冊手に入れろ、おのが原典記すとき、他に語る自らの想いが結実する。
文明は君を待っている、文暗と続く悪文の中にひとつの閃きあれば、戦い続ける愚者の英雄にも終わりを与えることも可能だ、無謀で野蛮で粗野な一撃一撃を、君は確かに受け止めて、大人になっていくのだろう。
君は愚者の英雄をよりよい方向に導くことが出来るのか?
果たして人類の災厄とも地獄ともなる戦争を書きたてる作家となり果てるのか?
ここより始めれば良い、才能皆無 無個性は試金石である。
黄金の経験を得るも君の自由なのだから。
で、
と、
ここからはオマケだ。
さて、実際問題、僕は才能皆無無個性のようになれそうにはない、
というものも、毎日七千字を十篇書いたら一日に七万字書くことになる。
一日七万字というのはどれくらいのペースで執筆すれば可能だろうか?
社会人が一日に執筆に掛けられる時間を一時間程度だと考えると、
一時間は六十分であり一分は六十秒である。
すなわち、3600秒が一時間に人間に託された時間である。
ということは3600秒で七万字を割れば答えはでる。
その答えは、まあ休憩時間も少し挟み3500秒として考えたら割と簡単に計算できる値だ。20字だ、一秒間で20字書けば、才能皆無無個性な社会人でもカクヨムリワードを換金できるくらい頑張れる。
そろそろ理解できたかもしれないが、才能皆無無個性な社会人では、一秒間に20字を書くことは出来ない、一秒間に20字を書く方法を編み出さなければ正解にたどり着けないのだ。
ここまで読めば、僕がなぜ、プログラム小説手を出したのか、理由が少し分かったかもしれない、つまり七千字を十篇書くプログラムを一時間で作ることが出来れば、才能皆無無個性でもカクヨムリワードを換金できるくらいのところに到達できるということである。 ただ問題としてはプログラムはその性質上、無限に文字列を吐き出すことが出来てしまうので、下手するとカクヨムの負担とみなされて、作品として公開停止処分になるという具合である。 なのでここは才能皆無無個性が示してくれた、一年で二千百万字という値を現実的に攻略していくプログラムを一年かけて更新し続けるという具合になるだろう、二千百万字ならば、カクヨムが本来リワードに込めた、愚者の英雄に到達し得るというわけであり、ある意味で、それこそがカクヨム側の回答だと考えている。
愚者たちには英雄が必要だ、賢者たちに戦争が必要であったように、それは言葉の呪いの部分なのかもしれないが、プログラムは言葉の重みや呪いを軽くこなすことが出来る、愚者が愚かであり続けるには、自分より愚かなものが無限に増え続けることが前提であるから、もしプログラムが自らを愚か者として晒すことが出来るのならば、我々は答えを得たも同然ではなかろうか?
汝、数多、プログラム達の英雄たれ、かの電子番組こそが迷える羊の群れなり。
無個性で才能無き者のリワード獲得がために奏でられる序曲 ウゴカッタン @kak16kyou
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