第29話 2つ目のダンジョン
翌朝、俺とルブレは町に出て情報を集めながら、武術大会本戦の席と予選の席を確保しにチケット売り場に行く。
欲しいのは最前列の席だが、予選も本戦も良くて中列の席しか空いていない。
チケットはここの1ヶ所しか売っていないので、予選、本戦の中列席隣同士で2枚ずつ買う。
「ネクト~見るだけなのぉ~?」
「見るだけだ。心配しなくてもダンジョンで暴れられるだろ。あんまりしつこいと嫌いになるぞ」
「うん・・・」
「それに、出たら優勝するだろ?そうなると色んな人から注目が集まる。それは俺等にとっては非常に不味い。分かるだろ?」
「うん。分かった。簡単に優勝できるなら面白くないしね」
ルブレはバトルマニアなのか?師匠と別れてからよく生きてこられたな。
まだ町でやりたい事があるが、早いとこダンジョンに連れて行くか。
そして俺等はこのまま、ダンジョン行きの乗合馬車に行って乗り込む。
「ネクト~モリーで行かないの?」
「モリーはお留守番だ。今預けているとこは環境がいいから心配ない。ルブレもモリーを見習わないとな」
「ネクト、さっきから意地悪」
俺の言い方が悪かったのか、ルブレはかなり機嫌が悪い。
結局ダンジョンに着くまで、俺はルブレの機嫌直しに追われた。
ダンジョンに着いた。情報で聞いた通り、ダンジョンの周辺は小さな町になっている。
ここでも少し情報を集めてから、ダンジョンに入る。
ダンジョンの出入口は洞窟テッドと同じ大きさ。
違っている点は、洞窟テッドは緑色に光っていたが、エルゴダンジョンは青色に光っている。
ダンジョンの出入口は厳重に監視されている。
周囲に人はポツポツいるが、ダンジョンに入る人は誰もいない。
早速、管理員のところに行く。
「冒険者カードの提示を。入場料は金貨3枚。地図は金貨2枚になる」
ダンジョンによって全然値段違うな。
「地図有で頼む。それと、この子の入場料の分も払う」
管理員は俺とルブレの冒険者カードを確認し、お金を受け取ると
「BとDランクか。厳しいかもな。命があれば再挑戦できるから、無理はするなよ」
「ああ、ありがと~」「ありがとう~」
そう言って、俺とルブレはダンジョンの中に入る。
異空間のトンネルを進んで行く。
トンネルの長さは洞窟テッドと変わらない。
トンネルを抜けると、洞窟テッドと同じような洞窟だった。
違う点は足元の光の色。
洞窟テッドは足元が緑色に光っていたが、ここは青色に光っている。
出入口でもそうだったが、ここの色調は青色という事か。
大きさも洞窟テッドと変わらず広い。
足元は光ってるが周囲は薄暗い。
けど俺等魔人は薄暗い程度なら十分見えるし、探知魔法もあるのでそのまま進んでいく。
当然マッピング魔法も使って奥に進むと、探知魔法に反応があった。
行って見ると、ストーンゴーレム Cランク
石で出来た人形3m程ある。
このゴーレムは恐らく特殊個体だと思うが、俺が知る限りダンジョン以外でゴーレムは確認されてないから分からない。
初めて見るが書物でも知っているし、今では鑑定魔法があるので名前だけは分かる。
ルブレはアイテムボックスからバトルアックスを出し突撃する。
「あ・・まいっか。気を付けてな」
ストーンゴーレムの動きは遅く、ルブレは簡単に倒してしまう。
ストーンゴーレムはバラバラになっている。
ルブレがバラバラにしたのではなく、勝手になった。
一応、アイテムボックスに入れて持って行くが、これは他の町でも売れないだろう。
バラバラになったストーンゴーレムが魔物として扱われるのか分からない。
多分、道や建物の材料として売れるぐらいか。
地図のAランク発見場所は、コカトリスになっている。
場所はまだ遠い。ストーンゴーレムしか出ないがひたすら倒してく。
アイテムボックスに入れたのは合計2体分で、その他は放置している。
宝箱は1つ出ただけで、その宝は罠だった。
暫くすると、Bランクのアイアンゴーレムが出てきた。
鉄で出来た人形3m ストーンゴーレムと形は同じ。
鉄で出来ているが、関節や目、所々謎の物質で出来ている。
これはストーンゴーレムにも共通するが、倒すと謎の物体の箇所が消えるので、バラバラの素材だけになる。
ルブレはまた突っ込んでいく。
ここまで魔物全て、ルブレ1人で倒している。
アイアンゴーレムは想像以上に強かったが、ルブレ1人で倒した。
ルブレはストーンゴーレムなら簡単に倒せるが、アイアンゴーレムは数十回攻撃を当てて、ようやく倒せるレベルだ。
それとルブレの戦い方だが、相変わらず正面から突っ込んで行く。
その為、攻撃もよく喰らうのだが、不思議とケロッとしている。
「ルブレ。ゴーレムは具体的に何処を攻撃すると倒せるんだ?」
「分からない~。胸かな?」
「え!適当に戦ってたのか?ちょっと選手交代だ。次から俺が戦う」
「ええ~~じゃあ新しい魔物出たらルブレね」
「分かった」
ゴーレムはすぐ発見した。
ストーンゴーレムとアイアンゴーレム1体ずついる。
「ルブレ、確認したい事があるから、絶対手出すなよ」
「うん・・・」
俺はストーンゴーレムの首を、ウインドカッター強化版で切断した。
まだ動いているので両腕も切断したが、石の部分に当たった時は深く傷が付いただけで切断まで出来なかった。
謎の物質部分なら比較的簡単に切断できる。
ストーンゴーレムをそのまま放置して、アイアンゴーレムの胸にウインドカッター強化版を放った。
アイアンゴーレムも動きは遅いが、ストーンゴーレムと違って反応がいい。
ウインドカッター強化版を腕でガードされた。
ストーンゴーレムは動きが停止しているが、ゆっくりと切断した部分が元通りになっていく。
再生とは違って修復していく感じだ。
飛び散った部分は本体にゆっくりと引き寄せられてる。
元通りになっていく部分をファイアボール強化版で吹き飛ばし、更に足をウインドカッター強化版で切断した。
俺はアイアンゴーレムの足の関節部分を、ウインドカッター強化版で狙った。
深めに傷は付くが切断まで出来ない。
ストーンゴーレムとは硬さが違う様だ。
鉄の部分は軽い傷程度。強化版のアロー系を水、氷、炎、雷の順にアイアンゴーレムの胸に放った
水、氷、炎は同じくらいのダメージだったが、雷だけ大きくひるんだ。
雷は麻痺の効果もあるが、そうではなくひるんだ感じだったので、強化版のサンダーボルトを放ったらバラバラになってしまった。
ストーンゴーレムはゆっくりと修復をしている。
片腕は修復されているが、近くに寄っても攻撃してこない。
どうやら完全に再生するまでは動けない様だ。
俺は胸の部分の石を慎重に剥がした。
剥がしている最中でも修復はしているが、修復速度は非常にゆっくりなので特に問題ない。
個体によって石の分厚さが違うが、バラバラになった形状も見ているので意外と簡単だった。
中は空洞で、胸の中心に直径30cm位の丸い球体が浮かんでいる。
短剣で浅く傷をつけたが何も起きない。
次に短剣をゆっくり刺していく。球体は軟らかく、力を入れなくても刺さる。
刺して直ぐ4~5cm辺りで球体はスーッと消えて、ストーンゴーレムはバラバラの形状になった。
ルブレは口数少ないが、俺の行動を真横で食い入るように見つめてる。
「見たか?ルブレの思った通り、胸が弱点みたいだな。硬い石や鉄で覆われてるから思ったより大変だけど、何ヵ所か切断すれば動きは止まるから、何とかなりそうだな。それと魔法は雷が弱点みたいだ」
「うおぉ~ネクト凄いぃ~」
さらに奥に進んで行く。出てくる魔物はストーンとアイアンゴーレム。2種類だけ
今ではルブレが1人で戦っている。
ルブレはコツを掴んだのか、数十回だった攻撃が、数回の攻撃で見事にアイアンゴーレムを倒してる。
たまに俺も加勢するがルブレに睨まれるので、黙って見ている事が多い。
結構奥まで進んだ。Aランク発見場所までまだ少しあるが、ここで引き返した。
そして、俺の鑑定魔法に変化があった。
今まで魔物は名前しか分からなかったが、
ストーンゴーレム ダンジョン固有種
アイアンゴーレム ダンジョン固有種
こんな感じで分かるようになった。
ルブレにどんな風に見えるのか聞いたら、鑑定魔法は使えないとの事だったので、一応、使い方を教えた。
不安になったのでルブレの使える生活魔法を聞いたら、アイテムボックスだけだった。
マッピング魔法無しで洞窟テッド回ったのか・・後で聞いたらやはり迷子になってさまよっていたらしい。
時間が空いた時に、生活魔法全般教えないとな~
来た道とは違ったルートで、ダンジョン出入口を目指す。
出会うゴーレムは全て倒した。時間は掛ったが、程なくして出入口に到着した。
結局、アイテムボックスに入れたゴーレムはストーンとアイアン2体ずつ。
宝箱は10個でた。ゴーレムを倒した数も沢山だったので何とも言えないが、10個の内7が罠3が当たりだった。
魔道具2つに宝石1つ。鑑定魔法で効果も分かるようになった。
浄化の水筒 全ての液体が水になる。
ランタン 捻ると明かりが灯る。
サファイア 中
宝石の名前も分かったが、品質はまだ分からないか。
ダンジョンを出て、試しに人間に鑑定魔法を使った。人間 大人。
人間は大人とは分かったが、ゴーレムは何も分からなかった。子供も大人もないかもな。
ちなみにルブレを鑑定魔法で見たが、種族、成長、どれも分からなかった。
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