カギネコ

天獄橋蔵

第1話カギネコ

『カギネコ』



>>プロローグ<<


?「やあ、また来たのかい?」


目を開けると、そこには、1匹の猫がいた。辺り一面真っ白で、猫と自分がホワイトアウトした空間に漂ってる。立ってる場所も、地面なのか、解らない位に、浮遊感がある。


ここはまるで透明な宇宙。猫と自分だけの世界。他には何も無い。


猫の姿は辛うじて認識できる。黒猫で首からカギをぶら下げている。変な猫だ。


ボーっと考えてると、猫は語り始める。


?「君はまだ扉を開けれないみたいだね?」


何の事だろうか?


記憶を辿るが、この猫の事は、知ってる様で、知らない気がする。何故かは解らないけど、懐かしい気持ちになる。


?「じゃあ僕が扉を開けてあげよう。君の旅路に祝福あれ。」


猫は大仰な事を、自然に流れる様にサラリと恥ずかしげも無く、言う。


白なのか透明なのか解らない世界が軋み始めた。空間に黒いヒビが入り込み、その黒い線は白い世界を覆う程に広がり、やがて世界はヒビ割れた。白い空間は黒い線で片されて、壁が音を立てて崩れさる。


足元の白い地面だけが残った。猫の姿は視認できない。


?「君にはこれから試練がまってる。君がどう思うか、どう動くかで未来が変わる・・・かもしれない。その先の結末は自分の目で見届けるんだ。」


黒猫の声だけが響く。ここが何処なのか解らないが、自分の直感が身体の五感全体が教えてくれた。嫌と言う程に、解り易く。更に安っぽい。


ここは死後の世界だな・・・


足元の地面が、緩やかに、降下していく。


?「また、会いたくなったら、その時は歓迎するかもしれない。でも、出来れば・・・僕達は会わない方が良い。」


黒猫の首に掛かっていた筈のカギが金色に煌いて頭上で輝く。


>>魂アンインストール<<


>>メモリークラッシュ<<


>>器コンバートクリア<<


>>猫魂リインストール<<


>>転生カウントダウン<<


8.7.6.5.4.3.2.1・・・


>>ユーザーネーム認証<<


†††


>>猫の登場人物<<


カギネコ


主人公。ヒラドシティ在住の黒猫の男の子。首からカギをぶら下げている。どんな扉でも開けてみせると豪語してるが、今のところは住んでる家(正確には飼われてる家)の玄関しか開けていない。


キーちゃん


ヒロイン。カギネコの彼女。灰猫の女の子。いつも家に居る。外には産まれてから一度も出た事が無い。偶々迷い込んできたカギネコに外の話を聞いて、興味を持ち。カギネコが来るのを楽しみに待っている。


ニャンポア


ライバル。ヒラドシティ全域を治める野良猫のボス。おっさんっぽいが、まだ若くカギネコとは同い年。縄張りに入って来たカギネコと決闘したが決着がつかず。カギネコに一目置いている。異常に人間を憎んでいる。昔は飼い猫だったらしい。


ハテニャ


ライバル。ヒラドシティに突如現れた謎の黒猫の女の子。首からカギをぶら下げている。姿がカギネコにそっくりで、声も似ている為良く猫違いされる。どこから来たのか不明。物語のキーパーソン。


>>犬の登場人物<<


ココイヌ


ヒラドシティ在住の雑種の茶色の犬。かなり老衰して見えるが、まだ若い。飼い主がエサを殆ど上げずに衰弱してる。まだ元気だった頃はカギネコと遊んでいたが、今はカギネコが来ても返事も出来ない状態。


ユキチ


ヒラドシティに引っ越してきた土佐犬。ニャンポアと闘い右目に傷を負わされている。猫嫌いで、人間も嫌い。毎年開かれる。土佐犬相撲の3連覇犬だが、賞金目当ての飼い主をいつ殺そうか考え中。


ゲン


ヒラドシティの警察犬の長老。警察犬にしては珍しい種類で雑種で登録されてるが、実は二ホンオオカミ。仕事は若い犬に任せて遊んでばかり。事件が起こるとお腹が痛くなる体質で使い物にならない。引退すると噂されてる。


ファイ


ヒラドシティに3頭居る盲導犬の一人。黒い犬。ゴールデンレトリバー。視力が盲導犬にしては低く、ギリギリの点数で盲導犬学校を卒業した。しかし視力以外は平均を凌駕する能力が認められている。盲導犬協会が飼い主に、新しい盲導犬に交換しませんか?と進められてるのを聴いて心が苦しい


>>人の登場人物<<


真野マヤ


カギネコの飼い主。学生ニートで通信制の高校に通学してる。口癖は「働いたら負けかな?」のダメ人間。


三葉ミツバ


キーちゃんの飼い主。女子大生。大企業の令嬢。将来を約束されてるトップエリート街道まっしぐらだが、親の会社を継ぐと建前で言ってる。本音は将来はニートなってゲーム三昧の毎日が送りたい。


悪井ヤロー


ココイヌの飼い主。家が貧乏過ぎて、親亡き後は働く意思も無く。20代で生活保護を受ける生活が続く。口癖は「ナマポ最高!」の屑人間。


黒隅エイト


盲導犬ファイの飼い主。いつもは家に居るが土曜日になると、障害者の集いに顔を出す。



それでは皆様。ごゆるりとご高覧の程。隅から隅まで、ずずずーいっと、お楽しみ御願い奉りまする


†††


>>第1章カギネコ<<


シーン1。ヒラドシティ真野家。



今日は飼い主であるマヤちゃんの帰りが遅い。


ああ?僕の名前はカギネコって言うんだ。


現在地はヒラドシティ真野家のマヤちゃんの部屋。


真野家は木造平屋の44坪位で部屋数は6つ。マヤちゃんの部屋は8畳位。


ん?僕の部屋は無いよ?しいて言えば、マヤちゃんの部屋とリビングを行ったり来たりが多いかな?


カギネコ「マヤちゃん遅いなー。何やってるんだろ?」


僕は帰りの遅い主を心配するが、中々帰って来る気配は無い。


時計を見ると4時59分だ。


町内放送「5時になりました。小学生、中学生の皆さん下校の時刻になりました。早く帰りましょう。」


町内放送が鳴って、小中学生に下校時刻だと知らせてる。まあ、飼い主のマヤちゃんは、もう高校生だが、この時間はとっくに帰って来てる筈なんだが・・・


僕は家の玄関の方に向かう。いつもは、戸締りをしっかりしてる真野家だが、たまに玄関が開いてる事がある。何故なら・・・


カギネコ「何故なら、僕がカギネコだからさ!」


僕は玄関の扉の横に置いてある自転車の荷台に飛び乗り。扉中央。すなわち鍵穴の位置にピッタリと体の中心線を合わせる。後は念じるだけだ。


カギネコ「開け扉!」


すると、僕の首からぶら下がってるカギが黄金に輝き。鍵穴に向って稲光が走り。ガチャンっと扉は開いた。


真野家の扉は木造平屋で玄関は今時では田舎の方でしか見ないような引き戸型で、且つ猫が勝手に開け閉め出来ない様に、一番重たい扉を建築する時に建築業者に頼んでおいた猫にとっては迷惑な扉だ。



カギネコ「けど、僕には何の効果も無かったけどねえ。」


僕はすんなりとカギを開けて、よっこいせっと、扉に身体を擦り付ける様に押し当てて、引き戸を右から左に開く。これが結構キツイんだな。


カギネコ「開けたら閉めるかな。」


僕は開ける時と似た要領で、玄関のポストに飛び乗り、鍵穴と高さを合わせて、念じる。


カギネコ「閉まれ扉」


ん?僕の首から掛かってるカギは玄関のカギなの?だって?


いやいや、多分この世界の扉を全部開けれるんじゃないのかな?多分・・・でも、試した事は無いけどね。


えーとね、このカギの名前もあるんだ。オモイデノカケラって書いてあるんよ。多分このカギの名前だと思うんだ。


きっと誰かが、僕の小さい頃にプレゼントしてくれた大事な物だって思うんだ。僕にはこれがとっても大事な物だって思えるし、きっとこれをくれた誰かも、僕の事を今もきっと大事に思っててくれる筈だよ。


まあ今はそれよりマヤちゃんを探しに行くかな。



こうしてカギネコは夕闇の街へ出掛けて行った。


†††


>>第1章真野マヤ<<


通信制高校の6限目が終わり、現時刻は14:50。バスに乗りヒラドシティに戻る。バスターミナルに着くと、近所でも悪名高い無職男にナンパされてしまった。


悪井ヤロー「ねえ彼女お茶しない?」


真野マヤ「いえ結構です。」


ありきたりなチャラ男の、いやコイツの場合はチャラ汚と呼んだ方が良いか・・・どうでも良い事を考えてると、チャラ汚が汚い手で触ってこようとした。


悪井ヤロー「そんな事言わずにさー。」


真野マヤ「ちょっと、やめて下さい!」


それでもチャラ汚ってか、この無職男は引き下がらない。


悪井ヤロー「じゃあ、ジュース奢ってよ?」


真野マヤ「はあ?」


それから私は、コイツを無視してズカズカと家路を目指し歩き出した。



バスターミナルから1キロ位の地点にコンビニがある。そこの近くが私の家なんだけど、時間のロスがあったから帰る時間が遅くなってる。当然お腹も空いてるので、コンビニで買い物をすませて、コンビニの外に出ると、我が家の飼い猫のカギネコが駐車場の前の処に寝転んでいた。


真野マヤ「カギネコ迎えに来てくれたの?」


私は嬉しくなって声を掛けた。


?「アナタ誰?」


†††


>>第1章ニャンポア<<


俺は野良猫のボスを務めるニャンポア様だ。今日も人間共からコンビニ袋を掻っ攫い戦利品であるサンドイッチに舌鼓を打つ。


ニャンポア「あーうめえ。生き返るぜ!」


手下A「ボス。今日も凄かったっす!」


手下B「ボスが居れば人間なんて恐くないっす!」


ニャンポア「だろ?俺様が居たら猫の天下だ!お前らも遠慮せずに、どんどん食え!」


我ながら面倒見が良いと思う。手下達は戦利品を漁り各々、おにぎり、スパゲッティ、シュークリームを食べてる。ん?シュークリーム・・・


ニャンポア「シュークリームは俺様の分は残しとけよ?」


手下C「勿論ですボス!お先に食べて、すいあせん!」


そうこうしてると、ライバルと俺が一目置いてるカギネコが珍しくコンビニに来やがった。手下達が「フー!」っと威嚇してる。まあ今の戦力は4対1。彼我戦力差は圧倒的優位だ。


ニャンポア「おいおいカギの字よ?ここは俺様の縄張りと知っての狼藉か?ああん?」


?「は?縄張り?アンタさ?ここのコンビニの固定資産税とか、光熱費水道代その他諸々の経費払ってるの?」


は?何だ?何言ってるんだ?ん?


ニャンポア「この暑さで、頭まで湧いたのか?え?カギの字よ。」


?「頭湧いてるのはソッチじゃないの?カギの字って誰か知らないけど猫違いしてる上に因縁吹っかけてきて、今すぐ立ち去れば怪我しなっくて済むよ?」


なんか、今日のカギの字は少し変だが、舐められたら終わりだ。


ニャンポア「ええい!問答無用!曲者だ!切り捨てい!」


手下A、B、C「ははー!」


俺達はカギネコそっくりの生意気な黒猫に飛びかかった。


?「面倒臭いなー。オープンザドア!」



俺は、関わったらダメな猫に関わったっと後悔した。何故なら、さっき居た場所はコンビニの駐車場裏だった。そう・・・コンビニの筈だったんだ。


手下A「ボス、ここは一体?何処なんです?俺ら確かにコンビニに居たっすよね?」


ニャンポア「お前達ヤバいぞ。ここは・・・」


そう、この空間はヤバい。噂で聞いた事が本当なら、間違いない。


ニャンポア「ここは、保健所だ。生きて帰れんぞ・・・」


手下B「そんな!」


手下C「どうにか成らないんすか!ボス!」


俺は黙り込んだ。運命とは数奇なモノだな。人間に殺されるのが運命なら、今までの罰が当たったのかも知れない。だが、こんな事では終われない。


†††


>>第1章ハテニャ<<


僕はコンビニで野良猫達を保健所にワープさせた。アイツらの運命は?ああ、大丈夫だって、野良猫を殺処分する制度がまだ完備されて無いから、保健所の職員が外に出すって思うよ?


ハテニャ「しっかし、疲れたな。カギの力を使うと眠くなるんよね。」


僕はぐったりして、きつくなった体を横に倒した。


すると。人間の女の子が話しかけてきてうっかり喋ってしまった。


真野マヤ「あなた人間の言葉が話せるの?」


ハテニャ「アイキャンノットスピークジャパニーズ」


これで、誤魔化そう・・・


真野マヤ「凄い!英語も話せるんだ!」


あれ?頭の弱そうな子なのに、誤魔化せないか・・・困ったな。


ハテニャ「あのね。僕とお話すると、一回5万円掛かるんだ。これさ?テレビ局の企画なんだけどね?君お金ある?」


真野マヤ「なーんだ、テレビか、お金無いし、いいや。じゃあね」


頭の弱い子で助かった。頭の弱い子は興味を無くして立ち去った。


僕は身体を起こして、一応だけど、いや念の為にと自分に言い聞かせて女の子を尾行する。


300メートル歩いた処で、自分にそっくりの黒猫に出会う。向こうも気付いたみたいだ。


ハテニャ「君がカギの字?いや、カギネコだっけ?」


カギネコ「わ、わわ、鏡が喋った?」


この猫は、姿はそっくりだけど、頭は弱いみたいだな。


カギネコ「あ、あれ?僕にそっくりな猫か!」


ハテニャ「ふーん。君さ、扉を開ける鍵持ってるけどさ?幾つ集めたの?」


カギネコ「ん?オモイデノカケラの事?これ一個きりだけど?幾つもあるの?」


成程。あんまり知らない様だな。それにオモイデノカケラって言うのか、情報だけ引き出そうかと思ったが、あの輝きは間違いない。マスターキーか、それに近いカギだろう。


カギネコ「君さ!このカギとお揃いの持ってるけどさ。このカギの元の持ち主知らない?」


ハテニャ「さあ、元の持ち主って居るのかな?いつ頃から持ってるの?」


カギネコ「多分。産まれた後の幼い頃じゃないかな?記憶に無いんだよね」


成程。これ以上は、こちらが質問責めに成りそうだから、退散しよう。


ハテニャ「じゃあ僕。ご飯の時間だから帰るね。」


カギネコ「えーもう少しお話しようよ。君の名前は?僕はカギネコって言うんだ」


ハテニャ「僕の名前?別に好きに呼ぶと良いよ。」


ふむ、いかん馴れ合いは良くないな。早く帰らないといけないのも確かだし。


カギネコ「そんなー、あ、あっちにね僕の家があるんだけど、遊びに来ない?」


ハテニャ「どっち?」


カギネコが背を向けて、家の方角を指した。恐らく先ほど猫違いした頭の弱そうな女の子の家だろう。見た感じ割に広いっぽいな。


ハテニャ「じゃあねバイバイ。」


面倒は御免だから、ワープしてトンズラした。


カギネコ「あれ?居ない?」



出会いは必然。物語の幕は開けた・・・


†††


>>第2章悪いヤロー<<


ヒラドシティ悪井家。



バスターミナルで女の子に声掛けたけど、逃げられた。あー今月はもう直ぐ終わるが、来月のナマポまで遠いなー。煙草代とジュース代と食費どうするかな?


バスターミナルでボーっとしてると、盲導犬を連れてるおっさんが隣に座って来た。


このおっさんは確か、身障協に顔を出してる黒隅さんだっけ?俺もメンタル持ちだから、三障害の集いで面識はある。黒い盲導犬を連れているから目立つ人である。


悪井ヤロー「黒隅さん、バスで帰るんすか?」


黒隅エイト「この声は悪井君か、また悪い事してるんじゃないのか?」


いや、見えて無いし、タイミングも合って無いから・・・って俺は何も悪さしてないぞ。


悪井ヤロー「いやいや、冗談好きっすねー。」


黒隅エイト「冗談は言わない主義でね。さっきナンパしてたのバッチリ見てたよ。」


悪井ヤロー「え、目見えない筈じゃ?」


黒隅エイト「冗談だよ。」


この人は冗談ばかり言う人だ。腹減ったし家に帰るべ。


悪井ヤロー「用事あるんで帰りますね。」



黒隅さんに挨拶して家に帰った。家に着くなり俺は、珍しく飼い犬のココイヌに吠えられた。


ココイヌ「ワン!ワン!」


エサを大分与えて無いな。ってか死んだ親が飼ってた犬を、何故俺が面倒見ないとダメなんか?


悪井ヤロー「あー五月蝿い少し待ってろ!」


俺はエサを棚から取り出して与える。今月はもう最後のエサだ。来月の一日にならないとエサも買えない。


ココイヌ「ワン。」


ココイヌは満足そうにエサを食べてる。


悪井ヤロー「この犬早く死なないかな?エサ代も勿体無い。」


ナマポはよ。俺は次の生活保護費が入るのを心待ちにしてる。


†††


>>第2章ココイヌ<<


今日は珍しく飼い主がエサをくれた。ありがたや。夜も遅くなったから、犬小屋に入って眠りについた。


夢の中では、沢山のドッグフードが出て来て、一杯食べたが、お腹が空いて起きてしまった。


ココイヌ「ああ、夢か・・・」


朝もまだ早く。もう一回眠る事にした。


夢の中で、川で遊ぶ夢を見てる。楽しい気分。そういえば、最後に散歩に行ったのはいつだっけ?


ココイヌ「手招きしてるのは、おばさんとおじさんだ。」


川の向こう岸で、死んだ筈の飼い主が手招きしてる。


悪井おじさん「ココイヌや早くこっちにおいで。」


悪井おばさん「ココイヌやもう良いんだよ?おいでおいで。」


あー、これさ?向こう岸に付いたら朝は来なくなるのか。


ココイヌ「は!ダメだ!ダメだ!まだ死ねない!」



最悪の寝覚めだった。雀がチュンチュン鳴いてる。今の飼い主は昼に起きるから、朝ご飯には有り付けない。


ココイヌ「誰か遊びに来ないかな?最近はカギネコが来たくらいか。腹減ったな。」


僕はもう長く無いかも知れないけど、死んだら今の飼い主が悲しむから、もう少しだけ生きよう。


†††


>>第2章黒隅エイト<<


ヒラドシティ黒隅家。



テレビを観てると、正確には聴いてるだけだが、ヒラドシティに居る土佐犬が出演してる。


黒隅エイト「あー北蔵さんの処の犬だな。」


ライオンが吠えてキャインって悲鳴を上げてる。


黒隅エイト「やっぱりライオンが相手だとあの土佐犬も大人しいな、なあファイ?」


家族である盲導犬ファイの頭をなでる。


テレビは次の番組が始まってて、巨大なブロッコリーの話題をしてるが、これには興味は無いのでテレビを消した。


ファイは床でくつろいでる。


明日は障害者の集いだから、早く寝る事にした。


†††


>>第2章ユキチ<<


ヒラドシティ北蔵家。



俺様はユキチ。右目に傷のある土佐犬だ。


テレビに出演するのは慣れっこだが、今日は流石の俺様もチビる位怖かった。相手はなんせライオンだ。


ユキチ「くっそ、飼い主のヤツ覚えてろ!殺してやる!」


明日からヒラドシティで散歩する時に赤っ恥をかいたままでは、外に出れない。


俺様の本能が、飼い主を殺せと疼いている。


俺様はなんの躊躇いも無く飼い主の喉を食いちぎった。


ぎゃああっと悲鳴を上げてたが、もう肉の塊になってる。


流石にこのジジイの死肉を食うのは無理だな。


ユキチ「さて、警察が動く前に逃げるか。」


玄関は幸いな事に空いたままだった。一歩外に出てみる。


すると空から声が聴こえた。


?「選ばれし者よ。オモイデノカケラを受け取れ。」


確かに、そう聴こえた。


ユキチ「何だ?身体が熱い!」


?「お主にオモイデノカケラの一つサツイノカケラを授ける。」


ユキチ「誰だお前!出て来い!」


?「お主が全てを集めるかも知れぬな・・・オモイデノカケラの中でも最強に近いサツイノカケラ。使いこなすが良い。」


俺様の中に、何かが入って来た。カギ?の様な形をした物が、俺様の魂に吸い込まれた。


?「サツイノカケラ確かに授けたぞ。」


ユキチ「コロサナイとイケない。俺様の敵になるモノ全て!」



飼い主を殺した俺様にはもう怖いモノなど無いっと思ってた。それに今は、サツイノカケラもある。無性に誰かを殺したい。



この世に災いの魔犬が誕生した。


後にアニマルハザードと呼ばれる事件の発端である。


†††


>>第3章キーちゃん<<


キーちゃん「退屈だなーカギネコでも来ないかな?」


今日は家で留守番。ってか外に出た事無いんだけどね。


此処だけが私の世界。退屈だけど外に出ようとは思わない。テレビもあるし、エサも沢山ある。


窓を眺めて、愛しいカギネコを待つ生活。カギネコは私の世界を少し広くしてくれた。外の世界の話を沢山してくれる。私の天使だ。


キーちゃん「あ、あの黒い影はカギネコだ!」


窓に黒い猫の形の影が浮かぶ。窓にはカギは掛かって無い。いつもの様にカギネコが入ってくる。


カギネコ「こんにちわキーちゃん。なんか久し振りだね」


キーちゃん「カギネコお久ー。」


カギネコは何か興奮してる感じだ。

きっと面白い話を仕入れて来たんだろう。


期待する私。


カギネコ「僕にそっくりな猫が居たんだ!首に同じカギをぶら下げてるソックリさん!」


キーちゃん「へえ、それで?」


カギネコ「んー名前も言わずに行っちゃったから、それだけ!」


えー、つまんねー


キーちゃん「ふーん。他には?」


カギネコ「それだけ!」


キーちゃん「あっそ。」


私は期待して損した。普段ならもっと外の世界の事教えてくれるのにさー。


カギネコ「あー、そういえば、北蔵さんって言う引っ越して来た人が飼い犬のユキチに殺されたってニュースで言ってたよ。」


キーちゃん「それテレビで観たよ。カギネコも帰り道気を付けて。」


私が帰って欲しいニュアンスも含めて言うと、どうやら察したみたいだ。カギネコは窓の方に向って行く。


カギネコ「じゃあまたね!」


キーちゃん「うんまたねー。」


ふーん。カギネコのソックリさんが居るのか、会ってみたいかもね。



カギネコが帰った後に、ボーっと考える。


キーちゃん「でも外には出ないから会う事も無いか。」


?「君はそれで良いの?」


後ろから、声を掛けられて振り向くとカギネコ・・・のソックリさんだと思われる猫が居た。


キーちゃん「アナタがカギネコのソックリさん?良く似てるね。」


?「んー、君には興味無いんだ。でもね。カケラの匂いがするんだよね。」


ん?カケラって何だろう?どこかで聴いた事あるような?


キーちゃん「カケラって何?アナタ面白い猫ね。お友達になろうよ。」


?「君がカケラをくれるなら友達になっても良いよ?」


なんか高圧的な猫だ。なんか友達になろうって気も失せた。


キーちゃん「えーじゃあご遠慮するね。」


んー早く帰ってくれないかなー?


?「あー君のカケラは要らないかな?危ない処だったよ。」


なんか、カチンときた。


キーちゃん「帰れ!」


謎の黒猫は帰れと言った瞬間に姿を消した。


キーちゃん「なんなの?失礼な猫だったなー。」


†††


>>途中経過の話<<


えっと途中ですいません。


作者のAgです。


この作品はゲームボーイカラー用に書いてます。


ゲームをイメージしながら書いてるつもりです。


ジャンル的には多分RPGになるって思います。


是非コメントをお願いします。


キャラの掘り下げは、この後にしていきますが、どのキャラが人気なのかも知りたい処です。


アドバイスくれる方の為に以下に少しネタバレしたいのですが、それは別ページに書きます。


何卒よしなに。


以上作者のAgでした。チャオ。

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