17話:東日本大震災と冬の東北を救った男達

 2011年2月17日、早朝、証券会社の担当者からオリックス株が高いから売りといわれ、現在の気配値9550円と言われ、全株成り行き売りを指示すると9時に全株売れ、税引き後利益9.6億円となった。


 その結果、佐野夫妻の残金が約9.6億円で残金が11.6億円となった。そこで5億円を飯田商会に投資し残金が6.6億円となった。その後、まだ寒い、3月11日14時46分過ぎ、横浜でも、台所の小物が落ちるほどの大きな地震が起きた。


 その後、しばらくしてテレビが復旧。東北の宮城県沖で、国内観測史上最大のマグニチュード9の巨大地震が発生、15時半前後には大津波が次々と沿岸部を襲ったと報道していた。


 宮城、岩手、福島の3県を中心に死者は約1万5800人、行方不明者は約3500人に上った。その後、仙台空港北部の閖上地区にも、想定外の大きな津波が、襲い、住人、約4000人のうち800人近くの犠牲者が出た。


 そして、その大津波が閖上地区の南部にある仙台空港に押し寄せて、あっという間に空港が水に沈んだ。人々は、4階の屋上に避難したが、3階は、完全に津波に沈んだ。巨大津波を不安そうに眺めている姿が、テレビに映し出された。


 もちろん、映像を見ていた、佐野一家でも、ドキドキしながら、空港の人々が助かりますようにと祈っていた。夜になると東北の海の対岸のコンビナートから火の手が上がり、流失した油に火がつき、海が燃えてるように見えた。


 これが、いっそう不安な心をかきたて、動揺させた。大津波に流される家や人の姿が、放送が流れるたびに背筋が、凍る思いをして、なかなか、寝られない夜を過ごした。


 2011年3月15日、証券会社の担当者から電話でキーエンス株が安いと言われ、18500円で佐野夫妻が8千株ずつ計1万6千株買いの注文を出した。14時過ぎに3億円買えたと連絡が入り佐野夫妻の残金が3.6億円となった。


 東北の3月は、まだ冬で、大震災後、一番に困ったのは、車の軽油、ガソリンや暖房用の灯油の不足だった。中でも暖房が使えないと凍死のリスクが高まる。しかし、東北自動車道が閉鎖され陸路が閉ざされた。


 その時立ち上がったのでJRの人達だった。なんとか東北に暖房用の灯油を大量に、一刻も早く送ろうとJRの実務担当者が会議を重ねた。その結果、1週間後の3月18日、横浜・根岸駅から上越線、日本海縦貫線を使い青森から盛岡に入るルートで輸送を開始。21日からはもう1便を増発した。


 1日2往復で合計約1200キロリットル「20キロリットルのタンクローリーで64台分」を毎日運んだ。さらに25日からは復旧した磐越西線を使って郡山へ運ぶルートも運行を開始した。


 しかし磐越西線は同線には、急な勾配区間があるためDD51形ディーゼル機関車2両が必要。また、貨物列車の運行に廃止されているため足りない機関車を九州や大阪、名古屋から集めて運行する事となった。


 それでも雪の残る峠では、熟練した運転技術が必要で熟練したベテラン運転手が選抜されて運転した。その運転技術をいかんなく発揮し雪の降る磐越西線の峠を抜け無事、暖房用の灯油を南東北に送り込んだ。


 東日本大震災では、原子力発電所の冷却電源装置が津波で壊されて冷却できないという知らせが飛び込んだ。東京電力福島第1原発では電源が止まり原子炉は冷却機能を喪失。核燃料が溶け1ー3号機は炉心溶融「メルトダウン」が起きた。


 1、3、4号機は水素爆発により原子炉建屋が大破。放射性物質が大量に放出される最悪の事態に陥った。国土地理院によると、青森から千葉まで、6県の浸水面積は561平方キロ。津波はすさまじいエネルギーで家屋や港湾、工場施設などを破壊。


 政府の試算では、地震・津波による住宅などの直接的被害は17兆円近い。ピーク時には約47万人が避難。国内外から支援の手が差し伸べられた。原発事故に見舞われた福島県では警戒区域「半径20キロ圏」への立ち入りが制限された。


 その他、各地で除染作業が行われた。放射性物質に汚染された農産物が関東などでも見つかるなど、農林水産・畜産業も大打撃を被った。廃炉までには30年以上かかるとされる。


 東日本大震災による東京電力福島第1原発事故などの影響で、各地で電力供給不足が深刻化した。東電管内では震災直後、地域ごとに送電を一定時間止める「計画停電」を実施。


 電力需要が高まる夏場の7月1日から9月9日には、政府が東電と東北電力の管内で37年ぶりに「使用制限」を発動。この東日本大震災のため飯田商会として会長の黒田浩三が会社として1億円。

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