第16話 『魔族襲来』
受付とは言ったが見るからにガバガバセキュリティーで平和ボケの酷さが伺い知れる。
先ず町の外周を囲む柵なり掘りなり無いってのはどうゆう了見だ?
世界観として巨大生物が大量に生息し戦争の耐えない場所でもあるだろう?
同じ国の領土で戦争が起きてると言っても今いる町とは真逆の方角で影響が少ないのも分かるが流石に呑気気儘が過ぎるだろ?
まあお陰で何の疑いもかけられず町に入れたから悪いだけとも言わないが・・・
「何を難しい顔してるのさハル? そんなに悩むことかな?」
「ん? ああ、済まない聞いてなかった」
愚痴のようで愚痴じゃない事を考えてた俺は聞き逃していたらしい、何を聞かれたのか全く要領終えないからな。
俺の返事に呆れたようで俺のてに抱き抱えられてるチズは軽いため息を聞こえるように吐くと「耳の穴かっぽじって良く聞け」みたいな刑事さんばりの眼光で俺を見ると繰り返し教えてくれる。
「今日の昼食露店で済ませるか中で食べるか、私は中が良いけどエルザとスバルは露店で済ませたいらしいの。 だからハルの意見も聞いとこう!って事でどっちが良い?」
「別に露店で良くないか? 直ぐ済ませて宿も早めに探したいだろ? 安宿で良いなら別に中で食うのもアリだが流石にトイレと風呂は付属されていて欲しいだろ日本人として?」
「ハルも露店って皆食に関心無さすぎじゃない!?」
「別に飯なんか食えれば何でも良いだろ? 虫だって食い方で旨くなったし。 なあスバル?」
「うむ、と言うか私の場合食など腹が満か満ちないかの違いでしか無いからの。 無理に旨いものを食おうとは思わんよ」
「おい! 口調直してから喋れ・・!」
「す、済まぬ・・・ つい素が出てしまった・・・」
「僕としてはスバルさんの居る場所こそ極楽なので場所云々は関係ないのですよ。 それに高級レストランなら兎も角露店と其処らの飲食店であれば誤差程度ですからね、スバルさんが行きたい方を僕も優先しますよ」
「うぐ、此だから食に無頓着な連中は・・・! はぁ、もう良いわったく・・・」
チズは拗ねたように頬を膨らますと目についた肉を焼いているらしい露店へ歩いてってしなう。
ってかチズってそんな理由だけで刑事みたいな眼光向けてたのか?
何て言うか始めてみる側面で新鮮だ。
「チズ、いじけてしまったな」
「まあ仕方ないだろ、町に来たばかりで喜怒哀楽の制御が難しいのも分かるし」
「そうですね、それにまだ3歳でしょう? 理解が有るだけマシと思うべきですよ。 それでは私も昼食を済ませたら解散ですので早く行ってしまいましょう」
「そうだな、俺も町を見て回りたいs・・・
『ズッドォォオオオオオオオオオオオン!!』
俺の言葉を遮るようにチズが行った方から轟音が鳴り響く。
その方向へ目を細めると砂煙に紛れ見辛いが大きな角を額から生やした体長2.5メートルそこそこ有りそうな人形の何かが仁王立ちで俺を見ていた。
いや、正確には俺の方向を見ていた。
「スバルの知り合いか?」
「いや、知り合いじゃないけど彼が何者かは分かるよ。 間違いなく彼は魔族だ」
「魔人じゃなくか、間違いないな?」
「ええ、あの巨体は魔人じゃないよ」
「そうか、なら躊躇しなくて良いんだよな・・・」
俺は言うが早いか一気にリミッターを3%まで引き上げ地面を抉り魔族の方へと飛び出した。
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