第459話 のこんぎく

 

 

 ぼやっと来る春とちがい、秋はいつもとつぜんやって来るよね~、とカヨさん。


 つい先日まで、半袖でも汗ばんでいた朝散歩が、今朝は長袖でも指先が冷たい。


 まぶしい初秋の日を浴びて咲き誇っていたコスモスの花群れは悄然と勢いを失い、代わって、足もとにこんもりと盛り上がった野菊が、にわかに色彩を増しています。

 

 ――まづ風は河原野菊の中を過ぐ      福田甲子雄

 

 少し離れたビル街の夜明けを眺めながら、広々とした田園地帯を楽しんでいた早朝散歩も終焉を迎え、そのうちに風のない住宅街を自然に選ぶようになるでしょうね。

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