第124話 ちゅうけい
実質的に関ヶ原合戦の前哨戦となった会津征伐に馳せ参じる大名の援軍のように、上空の雲という雲が大きなかたまりになって、東へ東へと奔って行きます。
風の強い日は水鳥たちも岩かげで羽を休めているのか、遠くの中洲に青鷺が一羽ぽつんとたたずんでいるだけで、二川を合わせた本流は勢いよく流れて行きます。
いっせいに葉を散らせ、はやばやと裸木になったポプラ並木。
かたや、いまを盛りと紅を深める桜並木や満天星躑躅の垣根。
だれも座っていないベンチに音もなく舞い積む無数の枯れ葉。
川の向こうの里山には赤、橙、黄、緑の樹木のかたまりが膨れあがり、足許では野紺菊が小ぶりの花をびっしりと咲かせ、民家の庭には柿が成りほうだいで……。
いまや秋真っ盛りの音楽堂では、久しぶりのイベントが開かれるのか、ロビーやカフェにほおずき色の灯がともされ、スタッフらしき人影が動きまわっています。
サングラスの目を上空に転じると、一羽の鳥がふわりと風に乗って遊覧飛行中。
上手に気流に乗れば、胸の筋肉を使って懸命に羽を動かさなくても、何時間でも浮いていられるのが鳥の構造だそうですから、強風も案じる必要はなさそうです。
以上、カヨさんのお散歩中継でした。🍃
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