第77話 しょこらおれ




 

 

 病院は早く済んだけれど、衛生のゴミネットの片付けまでには時間があります。

 二度の着替えと洗濯はいやなので、何度か行ったことがある近くのカフェへ。


 以前は混んでいて落ち着けませんでしたが、今日はほとんど客がいません。

 これなら作句に集中できそうと、ルンルンでショコラオレを注文しました。


 ところが、数分もしないうちに急に混んできて、たちまちのうちに満席に。

 あちこちから声高な会話が聞こえ始めて、集中どころの話ではありません。

 

 右どなりはシニア女性のふたり連れで、嫁の尻に敷かれている息子の愚痴。

 左どなりは高齢女性のふたり連れで、見かけに反して苛烈な平和憲法論議。

 

 ――これはだめだわ。

 

 作句を諦めたカヨさん、どこかで同じ場面がと考え、はたと思い当たりました。

 空いている映画館の指定席にほっとして座っていると、上映時間ぎりぎり、ひどいときは予告がスタートしてから飛びこんで来たカップルがすぐ横に座ったとき。


 ――全席指定なのに、なぜここなわけ?!


 とりわけ男性が横幅をとるタイプだったりすると、こちらの圏内にまで肘や脚が侵入してきて2時間モヤモヤ、あれほどがっかりすることはありませんからねえ。

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