第55話 けいけんそく





 

 なるほどねぇ、さすがに説得力あるわぁ。


 ――関係者のベクトルが一致していれば、課題は必ず解決する。


 ある業界の海千山千さんが語る経験則譚に、心から首肯したカヨさんです。

 

 そういえば。

 まことにもって余計なお世話ながら人生を豊かにするお手伝いをさせていただきたいというこちらの気持ちが通じないなら、せっかく始めたオンライン句会だが、潔く中止すべきだろうと覚悟し、全員の意識向上を促すべく一斉送信したメール、意外に(?)みなさん、真摯に受け止めてくださっていたことがわかりました。


 ――句会の事務局は大変だが、自分自身の成長にもつながる。


 大先輩のお言葉を反復しつつ、それにしてもねぇ、とカヨさんは思うのです。

 句歴の長さに安住して勉強しないでいると、こういうことになるんだよねぇ。


 たとえば、流行りの疫病を素材にした句は、二、三の俳句雑誌を繰ってみれば、いやというほど掲載されているのに、俳句なんぞ小手先で出来ると思っているから勉強せず、結果、現状を知らず、類想句の見本のような凡句を平気で詠み、採る。


 つまり、俳句を舐めている!


 ボランティア事務局としては何とも情けなく、腹立たしい限りなのですが、その代わりのように初心者が精進してくれているのが、わずかな救いになっています。


 残念ながら今回も、数合わせのために仕方なく選句した句の大半が水準以下で、結社の句会に出せば、即没になり、痛烈な批評を浴びること必定のレベルですが、ほんの少しずつでも進歩していかれれば、と願うしかないカヨさんでもあります。

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