第35話 つべこべ
かつてカヨさんが小さな会社を経営していたころのこと。
ある夜、居酒屋のカウンターで、馴染みの女将さんと資金繰りのきびしさをこぼし合っていたところ、ひとつ向こうの席の中年男性から、いきなり言われました、
――好きなことで飯を食ってんだから、つべこべ言うんじゃねえよ!
が~んと固まった女将さんとカヨさん。
諍いごとは苦手なので、何とか取り繕ってその場を治めましたが、あとで聞くとチーズケーキ屋さんの店主だったそうで、やはり経営に行き詰っていたようです。
コロナで苦境に立たされたクリエーターたちに、一部世間は冷たいようですね。
そういう話を聞くたびあの場面を思い出し、しゅんとなっているカヨさんです。
ちなみにですが、カヨさんは好きで企業を経営していたわけではなく、ひとくちでは説明できない複雑な、やむを得ない事情からその立場にあったのですが……。
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