第23話 落ちたものは「無料」に流れていくのか

毎年たくさんの賞が作品を募っていて、その分、落選作品の数も合計すると相当のものと思いますが、それらはどこに消えてしまうのだろう。

ぶっちゃけ、作者さんの胸のうちに保管されているなら一番いい。

もし同人誌にでもして売れてるなら(一般に厳しいですが)、それはそれで作者さんも満足なはずです。

ですが、無料投稿サイトに多くのもの捨てられているなんて事がもしあったら…

しかも、然るべき評価を受けていないとしたら…


14万字の作品を書くきっかけになった某投稿サイトのコンテストについて、一応最後まで迷おうとは思います。何かいい方法ないかなーと、考えて考えて、何も打つ手なさそうですが。

相方の出版社も、おかしいと思います。投稿サイトから投稿物を応募できるというのは、良いでしょう。でも、出版社を通しての直接応募はできないなんて。やる気あるんですか、とさえ思ってしまいます。何がどうあっても、無料で晒すのが応募条件と言いますか。それであなた達の利益が増えると本当に思っているんですかと、そう感じます。

「落選させる=価値がないとみなす」しかし、「サイトにはコンテンツとして載せたい=何らかの価値は認めている」

これはちょっとおかしいですね。

やはり、投稿サイトと審査制のコンテストというのは、両立しないものなのかもしれません。


「pvや評価に応じた報酬を払う・投げ銭ができる・自分で広告を貼ったり有料販売物の宣伝可」…

そういうものを取り入れているところもあるようですが、いずれの場合も、「まずは無料公開が前提」というのが鬼のようなしつこさで説かれているんですよね。

では、無料公開したけれども、小学生のお小遣い程程度の額も稼げなかったら?

まあ、それは自己責任って事ですよね…。

公開した側は、ただ少数の一部にタダ読みされて終わり、と。

本当は、50円や100円でもいいから、読みたいなら1人1人が払えばいいんですよ。

そうすれば、見たのが100人でも、5千円や1万円ですよ。

趣味でやってるなら、1作品に対してじゅうぶんでしょう。運営側に手数料払うとして、仮に半分払うとしても、2500円や5000円、これでもじゅうぶんだと思います。小説の同人誌でそこまで黒字にするの結構大変ですから。


企業側の立場に立っても考えてみましょうか。

1万作品あって、仮に等しくそれぞれ1部売れたとして、

手数料100円とったら100万円ですね。各々10部売れたら1000万円、各々100部売れたら1億円ですか。計算すると結構すごいですね。

まあ、なかなかそうはうまく行かなくても、ある程度水準以上の作品を集めれば、ビジネスにはなるかもしれませんね。で、プラス、広告もちゃっかり貼れば企業側の収入はもっと増えるでしょう。

(そういう有料の場合には、レビューとか評価っていうのはむしろ大事になります。表紙とか宣伝で釣って中身が全然違うとか極端に質が悪いとか、それは問題になるんで)


もちろん、今の投稿サイト運営しているような企業様が、そういう方式に移るのは正直おっかないでしょうね。どこも、とにかく無料作品集めて広告収入で安全運転という方針だと思います。…で、社員でもないのにそれに乗っかってしまっている大勢の人達に彼らは支えられていると。


元々、例えば出版社であれば、水準を超えた作品のみを売りに出して、収益を上げるスタイルですよね。

それで、本来金にならないものも、かき集めりゃカネになるだろうっていう考え方は、私だったら「今後はやめる方針にしたほうがいいのではないか」…とは、言いたいですね。

作り手を愚弄しすぎだからです。

社員の一人一人が創作活動を自分でやってみればいい。それでも尚、全員一致で今の方針が正しいと言うなら、それは仕方ないと思いますが。


まあ、今の方式でも、場合によっては喰われずにすむ方法もあるかもしれません。

例えば、手が速くて、極端ですが10万字が100作品あったとして合計1千万字ですか。それがあったとしたら、まあ、そのうちの10作品くらいは、博打感覚で「捨てても」痛くもかゆくもないですよね。外したから何だって話です。痛くもかゆくもねえ、って。仮に10作品投じてうんともすんとも言わなかったら、詐欺だと思って全削除して引けばいいだけで、未公開分が残り90作品も残っていますから。極端な話ですが。

つまり、こちらもこちらで、大量の火薬をためこんでおけば、現行の良くないシステムのもとでも対応はできるかもしれませんね。精神面で。

物資がない状態で、一生懸命に丁寧に仕上げた作品を投じてしまうのは博打です。

それがよく当たる宝くじならいいけど、個人的には悪い話しか聞かないので。


それで、1作でも何のシステムのもとでも何でもいいから金が入れば、「無料」という良くないシステムでも、まだ妥協点があると思います。それと、私も経験ありますけど、特定のジャンルで1つ売れると、同じジャンルの過去作品を一緒に買って行く人がいるんですね。つまり、数がある場合で品質が保たれてるなら、1作当たればきっと連鎖する可能性もあるでしょうね。

金が目的ではなくても、やっぱり純粋な0円っていうのは良くないですね。

創作活動をしてない側、手を動かしていない側の人間の力が無駄に強すぎる。

金も払わないでやりたい放題になってるのは間違いないと思います。


もっとも、一人で10万字を100作品書くのは大変だけど10人集まれば一人10作品なので、それだったら可能な範囲ですね。

そういうところも、作り手側に欠けてるのかなとは思います。

一万人いて、群にならないで一匹オオカミ一万匹になっていて、少数の人間に見事に家畜化されてイヌになっている。一匹一匹ではまるで勝負にならない。極端な話、そういう状況ができているのかもしれません。


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