Absolute Zero

@regulusTM

プロローグ

罪とは誰が決めるのだろうか。


例えば、ただ存在するだけで罪になる人間がいるとしたら。

或いは、存在する為に積み重ねてきた罪があるとしたら。


それでも変わらずに、存在し続けることは許されるだろうか。

ある誰かを傷つけ、しかしそれが他の誰かの為にと願うことは間違いだろうか。


世界は残酷にも等しくなく、強者の感傷に至らなければ弱者の犠牲に躊躇はない。

独善的な正義、利己的な願い。個で劣っても団結すれば勝るとき、不遜にも”裁く”と思考する。


罪とは何処に宿るだろうか。


事実に宿るのであれば、正当性は意味を持たず、ルールを定める人間の裁量で罪となる。

悪意に宿るのであれば、例え事実でも、悪意はないと認める人間の裁量で罪ではなくなる。


心の内にのみ宿るのであれば、心無き者に罪は無く、逆に正当性を認められた者でも、その心に罪は残る。


多数の見知らぬ人間を犠牲にして、自分や大切な人間を救うこと。

自分や大切な人間を犠牲にして、多数の見知らぬ人間を救うこと。


誰がその罪を問えるだろうか。

誰がその行動を讃えられるだろうか。


結局、誰しも独善的なら、大切な何かを護ろうとすることを誰が咎められるだろうか。


大切な何かを護ろうとすることの、何が罪だろうか。

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