08 終

 嫌な予感がして、扉を気付かれないようにそうっと開けて入る。

 彼。

 机の上にはいない。

 忍び足で、ベッドのある部屋に。

 彼の、小さな息遣いきづかいが聴こえる。


「こらっ」


 勢いよく扉を開ける。

 彼。

 ベッドの上で、ひとりでしている。


「こらっ。なにをひとりで」


 彼を軽く蹴飛ばして。

 ベッドの上。

 のしかかる。


「なんでひとりでしてるのよ」


 逃れようした彼を抱きついてベッドに引き込み、自分の服を脱ぎながら、彼の服を脱がす。


「わたしには、するなって言ったのに。あなたはひとりでするのね、アクセラ」


「ごめん。ごめんって」


 はだかの彼の上に。はだかの私。


「チェインが戦ってるのを見たら、つい」


「だからって、わたしが帰ってくるのを待たないわけ?」


「それは」


 自分の身体の、下のほう。まるで準備をするかのように、何かが開く感じがする。


「う」


 前に出された彼の精が、出てくるかもと思ったけど。自分の液体以外は、何も出てこなかった。そういえば、トイレで流したんだっけ。


「ねえ」


「なに?」


「鎖を。外してほしい」


「ほんとに?」


「うん」


「うれしい」


 痛みではなく、わたしを見てくれるのか。


 彼が、器用にわたしの鎖を外していく。


「あ」


 右足首の鎖を外してすぐに。


「しまった」


 遅れをとった。

 急いで彼のものを掴もうとしたけど。もう遅かった。手がぎりぎり届かない。


「ううう」


「あぶないあぶない。紙一重だ」


 鎖ではなく、これが目的か。

 くそ。

 あなたのを、噛みちぎるぐらい、舐めたかったのに。この体勢では、わたしが先に舐められてしまう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

はちきれそうな愛(※えっち注意) (チェイン&アクセラ) 春嵐 @aiot3110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ