第3話 学校とバイト
学校にはその2日後に行った。昨日はバイトが午前シフトだったのだ。わざと入れているのだが
覚えていることといったら朝、冷水になんで昨日来なっかたのと言われたことだ、『約束したのに』だそうだ
放課後は屋上で時間を潰した。桜はとっくに散ってしまったが葉桜もいいと思う
一昨日は1人だったが今日は1人じゃない。隣に
別に俺らに会話があるわけでもない。ただ隣にいるだけ
隣の綾乃に目を向ける。目を瞑ってすーぴーと寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている。
起こすのも面倒なので寝る事にした
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「…………ん、は……くん、
「何ぃ」
綾乃に揺さぶられて起きた時には日が沈みかけていた
「隼人君ずっと寝てたんだよ、せっかく屋上に遊びに来たのに」
最初に寝たのは綾乃の方だろ、責められている意味がわからない
「もう暗くなりそうだし早く帰ろ」
「あん、おけ」
綾乃の自由奔放さには呆れさせられるばかりだ
そんな綾乃とも商店街の入り口で分かれる。分かれる時に手を振ってきたので振り返すとにっこり笑ってきた
家路を歩いているとスマホが着信を知らせてきた。スマホを見ると親父からのメッセージだった。今日中には帰れないから飯がいらないとの事だ
親父も飯がいらないといっていたので軽く作れるものを作って食べた
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翌朝、登校して席に着くと前の席の
「ねえねえ、
「いや、違うよ」
「その割には仲が良いな」
それで会話は途切れた。それからも陽翔は「もしかしてもう付き合っているのか」とぶつぶつ言っている。そんなわけ無いだろ
数分後、綾乃が入って来て「隼人君おはよう」などと言うので「やっぱりお前ら付き合ってるな」と陽翔が自己完結していた
その騒ぎは朝のホームルームの開始のチャイムによって掻き消された
放課後になったら綾乃に引っ張られていくのだからクラスのみんなから温かい目で見られるのだ。まあ別に良いのだが
屋上に連れてこられて綾乃が取り出したのはトランプだった
「今日はトランプで遊ぼうよ」
「いいよ」
「じゃあダウトしよ」
「え、それ2人じゃ終わらなくね」
と言うとあやのは得意そうに笑って
「カードは好きな枚数だけ取って1~13を何周するかを決めてやるんだよ」
なるほどそれなら確実に終わる
「じゃあ始めよ」
結局、綾乃のぼろ負けで終わった。綾乃は10戦10敗だった。綾乃は捨て札を回収するとき捨て札に違うカードがあるのを見て「この世は嘘が横行している!」と言い出した
「おかしい絶対イカサマしてる」
「いやしてないよ」
「隼人君はわかりにくすぎだよ、嘘か本当か全く表情から読み取れないもん」
そう口を尖らせて言ってきても困る。逆に綾乃はわかりやす過ぎなのだ。だそうとしてるカードが嘘か本当か顔を見たら一発でわかる。絶対に嘘のカードを外さずにダウト宣言ができる
「じゃあ、もう一回勝負だ」
負けてしかいないけどもう一度やるらしい
結局、綾乃が負けた。
「ま、負けた。無理、あんなん勝てん」
綾乃は地面に突っ伏して嘆いていた
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次の日も綾乃に連れていかれそうになったが、バイトがあるので断ると渋々ではあるが離してくれた。
俺はファミレスでバイトをしている。主に接客をしているので基本表にいる。空いたテーブルの皿を回収してテーブルを拭いていると、カラカラと誰かの入店を知らせる音が鳴り奥から大学生の先輩が「隼人君お願い」と言ってきた。来店者が座ったテーブルに向かうと綾乃が座っていた。制服姿に学校カバンを持っているので学校から直接来たのだろう。とりあえず定型の言葉を述べると
「そんなマニュアル通りじゃ売れないよ。あと注文お願い」
と言ってきた。接客で売れる売れないってホストかよ、余計なお世話だ
「ではご注文をお伺いします」
「じゃあ隼人君一つお願いします」
そんなのメニューにねーよ。周りが見てくるし面倒くさいので淡々返す
「メニューにあるものからお選びください」
「裏メニューにないんですか隼人君は」
「ございません」
「えー」
何やら不満そうだ。もう付き合いきれないのでつきはなして
「お決まりになりましたらお呼びください」
と言い離れようとすると
「わ、分かった、ちゃんと注文するから待って」
「ご注文をどうぞ」
「えーと、この、きのこ和風パスタで」
「かしこまりました、少々おまちください」
綾乃から離れ来店した客の対応をしていたらきのこ和風パスタが出来上がったので、綾乃のところに持っていく。
「きのこ和風パスタです」
「ありがと」
それから綾乃の席を離れ他の客の注文を聞いたりテーブルの皿を回収したりした。先輩に休憩入っていいよと言われたので休憩することにした
休憩が終わり表に出て店内を見回すと綾乃の姿がなくなっていた
「さっきの君と同じ学校の子ならさっき帰ったよ」
レジのところにいる先輩が言ってきた
「さっきの子彼女?」
「違います」
「え、違うの?隼人君の上がる時間まで聞いてきたのに」
てことは俺のバイト終わりを綾乃が待つのか、急いで着替えてやらないかんのか。面倒くさい
バイトが終わり、すぐに着替えて外に出ると店の駐車場入り口の横に綾乃が立っていた。そんな綾乃に声をかける
「なんで待ってるの?しかもいちいち先輩に俺の上がり時間まで聞いてさ」
「先輩言っちゃったんだ〜。時間聞いてみたらちょうど塾の帰り時間だったからさ一緒に帰りたいな〜て思ったの」
そこまで慕ってくれていて嬉しいが俺は綾乃に特別何かしただろうか。とりあえず綾乃の言葉に返す
「じゃあ帰ろ。家まで送るよ」
「いや商店街前でいいよ。家まで来るの面倒でしょ」
「いやいいよ。女の子を夜中に1人で外に居させるわけにはいかんから」
「隼人君にそんな精神があったなんて」
俺が言ったことに驚いているようだ。俺をなんだと思ってるんだ。でもなんか嬉しそうだ
綾乃の横まで行くと綾乃も歩きだした。
「ねえねえ隼人君、気になったんだけど隼人君の両親て何の仕事してるの?」
「父さんはサラリーマンで、母さんはもうこの世にいないよ」
「へーじゃあお父さんと2人暮らし?」
一瞬え?と思った。母が死んだことを言うと大体はごめんとか哀れみの視線を向けてくるのに
「そうだよ」
「お母さんいないと家事とか大変じゃない?」
「もう慣れた」
母関連のことを聞くのを綾乃は躊躇していない様子だ。母のことを聞くことはないみたいだが
「綾乃は、母さんが死んでいることを聞いて『ごめん』とか言わないの?」
「え、言ったほうが良かった?」
「いや、言わないほうがいい。そんなこと言われるとイラつく」
「そう、なら良かった」
と言い、嬉しそうに微笑んでくるから、嫌味を言ったことに罪悪感が湧いてきた。そんなことを話しているうちに商店街の入り口を過ぎ、冷水ラーメンに着いていた
「送ってくれてありがとう、じゃあね」
「うん、ばいばい」
そう言って冷水ラーメンに背を向ける。背後ではドアを開ける音と閉める音がした
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