(三)-7

 翌日、南平さんは八尾に連絡を入れた。電話は通じたが、八尾は交渉に応じなかった。そのことが羽田さんを通じて浜島さんと私に連絡があった。

 私は弟を「短期のバイトがある」と言って連れ出し浜島さんと三人で、夜の渋谷の個室居酒屋で打ち合わせした。

 普段は何事にもやる気を見せない脱力人生を送る弟は、このときばかりは珍しくやる気と好奇心がMAXになっていたらしく、話に食いついてきた。


 そして打ち合わせの翌日の白昼堂々、作られた事件は発生した。画廊の案内係が事務所に入っている間に、やってきた人物が一枚の絵を盗み出していった。


(続く)

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