(二)-18

「すぐにということでしたら、横浜駅で待ち合わせではいかがでしょう」

 それで良いと伝えてから私は自分の名前を名乗った。すると「あなたひょっとして市立美術館の西原さん?」と八尾は聞き返してきた。

 初めて会う人に、そんなふうに言われる覚えはなかったが、「読みましたよ、アートスタイルマガジン! あなたのインタビュー、拝読させて頂きました。いやあ、光栄だなあ。有名人に電話を頂けるとは」と言ってきた。

 調子のいいことを言っているが、この業界は意外と狭いので仕事に支障が出るといけないから、業界関係者の名前は予めチェックしているのだろう。八尾はかなりやり手の営業マンらしい。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る