第3話 指がすっころびます
全国のクラリネット吹きの皆様、こんにちは。20年ぶりにゾンビのように復活したクラ吹きでございます。
今日は「指がすっころぶ」お話をしたいと思います。指がころぶ、っていいますよね、木管の皆様。あれです、早い連符やスケールでこけるヤツ。
突然ですが、皆さん、楽器を組み立てて音出しをするとき、一番最初に何をやりますか?
私の場合ですが、最初に開放音、つぎに下のB♭からドレミファソラシド、更に上へ、ドレミファソラシドー。今度は一番下のD(ミ)から半音階で一番上のB♭まで。んで、逆に半音階で一番下まで下がる。
これです、この半音階がすっころぶようになっちゃたのです!なんで???
♩=60で16分音符くらいのテンポで、せめてきっちり吹きたい。そう思いながらやっても、1拍に均等に4つ入れられず、不均等になってしまうのです。挙句、小指がキーから滑って落ちる。がーん。
あ、ついでに言いますと、慣れるまで上がって下がることすら、初めのうちは口と息が辛くてできません。完全に要リハビリです。
若いときに楽々できても、歳をとると脳からの指令が指に正確に伝わりにくくなるのでしょうかね・・・。若い皆さん、歳をとるとこういう現実がまっていますから!いいですか、指も何もかも老いるんです(力説)。
そして、スケールも転びまくります。学生時代、楽譜なんか見なくとも、B♭ dur、C dur、D dur・・・と、順番に吹けていました。なのに、今じゃ楽譜見て、どこに♭(もしくは#)が付くのか確認しないといけない有様。さらに指がすっころび、聞いてられません。自分が自分の音を。
クラリネット吹きの宿命で、半音階、スケールは♩=120で16分音符くらいのテンポで出来るようにならないと、それなりの難易度の曲に挑めません。金管が華やかな旋律を吹いている裏で、木管勢は大抵の場合、鬼のように黒黒とした楽譜を吹かされますからね。
吹奏楽御用達ミュージックエイトさんのポップスくらいなら、初見で合奏できるくらいになりたいものです。そのためにはスケールの技術を学生時代の程度まで戻さなくてはならないのです。
はあ・・・おばさんになるってツライ。
「へっへー、私はできるもんねー」と思ってるそこの若い皆さん!
あなた方も、いつかおじさんおばさんになるんです!そのときも楽器を吹いていたいですよね!?できることなら、ブランクをつくらないのがベストですが、大学が忙しかったり、社会人になって時間が取れなかったり、いろんな事情で断念することになることもあるのです。
そんなときが、来たら思い出してください。「あー、なんかクラ吹きのおばさんが、劣化について熱く語ってたなー」と。そう、断念したあとの現在の私が、断念せざるを得なくなったあなた方の未来の姿なのです。
(我ながら嫌な予言だなー)
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