日本からのお土産編⑤魔力操作は注射器で覚えよう
次の時間になり、今度は魔力操作についてみんなに教えようと思い注射器と水鉄砲を数種類準備した。
注射器には先を切った針を付けた物と付けていないもの、水鉄砲は穴の小さい物と大きい物を用意して水を入れたバケツも準備しておいた。
「それでは今度は魔力操作について勉強していきましょう。魔力操作ってわかりますか? ネリーさんどうでしょうか?」
小柄で金髪金目のちょっと知的な感じのネリーが頭を捻りながら答えた。
「魔力操作とは魔力を拡散させることが無いように一定方向へ魔力を出すことと思いますが?」
「ええ、それも魔力操作の一部です。魔力操作は魔力を小さい出力から大きな出力まで自在に出すことができ、出力だけでなく方向も自在に扱えるようになることです。魔力のシールドも一定方向だけでは例えば前面しか出すことができませんが、いろいろな方向に出せれば前だけでなく後ろからの攻撃も受けることができるようになります。魔力の量も調整出来なければ強いけどすぐに切れてしまうシールドしか作れません。ですから魔力操作というのは重要なんです。ではここに4つの注射器と言うものがあります。これはまだ発売されていませんが、ポーションを直ぐに効かせたい時に使うものです。この4つの中には水が入っており後ろを押すと水が出ていく仕組みになっています。この4つで一番早く水が無くなるものはどれだと思いますか? クラリス君どう思います?」
茶髪金目のイケメンはいつものように爽やかに答えてくれた。
「それは水の量がすくないからその小さい注射器とやらじゃないのか? 大きい方は水を出すのに時間がかかりそうだ」
「では実験してみましょう。そちらから4人で1つずつこれを持ってもらえますか? これには栓がしてあるので栓を抜いて待ってください。掛け声を掛けたらお尻の部分を前に押しだして前に吊ってある紙を切るような感じで水を出してください」
ジャヌソン君、エリック君、ローンさん、マリアさんがそれぞれを持ってくれた。
「それではイチニのサンで後ろを押してください。イチニのサン!」
それぞれの注射器から水が飛び出るが一番早く押し切ったのは一番大きな水鉄砲の穴の大きな物だった。
「「なんで?」」
「何故だ?」
「えっええええ」
いろいろな反応があるが、みんな不思議そうな顔をしていた。
「大きくても出す穴も大きければすぐに無くなってしまいます。また小さい穴であれば少ない量でも長く持ちます。これは魔力も一緒で魔力が大きいから強いのではなく魔力をいかに上手く使いこなすかで魔力の量をカバーできるのです。それでは水をかけた紙をみてみましょう。紙を切断できたのは小さい注射器で細い針のものと、大きな水鉄砲で穴が小さいものですね。大きな穴の物は穴は開くけど切断はできません。これも魔法に応用できます。大きな穴のものは無駄が多く力が上手く伝わっていません。細い穴の物は効率よく力が伝わるので小さい注射器でも紙を切断できるのです。魔力を広く出すのではなく細く長く出す練習をしましょう」
話だけではなかなか理解できないのでイメージが湧くように皆にも実際に押してもらって針から出てくる水を体験してもらった。
最初の授業から10日程いろいろな実験道具を駆使して魔法とは科学と想像力の融合で何倍もの強さを出せることを理解してもらった。
特別な魔道具としてDVDとプロジェクターで台風や吹雪などの自然災害から、火炎放射器といった魔法で応用できるような映像も見せる事で、皆の魔力も制御力も上がり宮廷魔道士達なんて足元にも及ばないくらい強くしてしまった。
ちょっとやりすぎたかな?
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